「ダンピング症候群」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?【医師監修】
公開日:2025/03/16

ダンピング症候群とは主に食後に発症する病気で、体に不調を与えます。
食後に「クラクラする」「低血糖のような症状になる」といった症状が現れた人は、ダンピング症候群になっている可能性も考えられるでしょう。
ではダンピング症候群とは一体何が原因で発症するのでしょうか。
今回はダンピング症候群の早期・後期の違いや原因・症状を解説していきます。食事をとった後、体調不良になりやすい人や、胃の手術を行った後の人はぜひご覧ください。
※この記事はMedical DOCにて『「ダンピング症候群」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
目次 -INDEX-
ダンピング症候群とは
ダンピング症候群とはどのような病気でしょうか?
ダンピング症候群とは、胃の切除手術を行った場合に発症しやすい病気です。食べ物が急激に胃から小腸に移動することが関係して症状が現れます。
発症の多くは食事をとったあとですが、食後すぐに症状が現れるケースもあれば、食後何時間か経過したあとに症状が現れるケースもあり、人によっては食後すぐに現れない人もいるでしょう。症状は軽度な場合や、症状が重くなってしまう場合もあります。
そのため少しでも異変を感じた場合は医師に相談してみましょう。
発症の多くは食事をとったあとですが、食後すぐに症状が現れるケースもあれば、食後何時間か経過したあとに症状が現れるケースもあり、人によっては食後すぐに現れない人もいるでしょう。症状は軽度な場合や、症状が重くなってしまう場合もあります。
そのため少しでも異変を感じた場合は医師に相談してみましょう。
早期と後期の2種類あると聞きましたが違いを教えてください。
ダンピング症候群には、食後30分程度で症状が現れる「早期ダンピング症候群」と、食後数時間後に症状が現れる「後期ダンピング症候群」の2種類があります。発症までの時間が異なり、出てくる症状もそれぞれ異なる点が特徴です。
たとえば、「早期ダンピング症候群」であれば、食べ物を胃に貯めておけなくなることが原因で発症します。胃に食べ物が貯めておけなくなると、胃で消化されきっていない食べ物がそのまま腸に流れ込んでしまうと同時に、血中の水分が腸内へ移動する現象も起こってしまうのです。このことにより、水分不足と同じような状態になり、体の不調を感じる人もいるでしょう。
また「早期ダンピング症候群」よりも遅く症状が現れるのが「後期ダンピング症候群」です。「後期ダンピング症候群」は胃の中に蓄えられていた食べ物が急に排出されたことで、血糖値が上昇し、体の不調へとつながります。それぞれ発生原因が異なることはもちろん、発生する症状・時間も異なる病気です。
たとえば、「早期ダンピング症候群」であれば、食べ物を胃に貯めておけなくなることが原因で発症します。胃に食べ物が貯めておけなくなると、胃で消化されきっていない食べ物がそのまま腸に流れ込んでしまうと同時に、血中の水分が腸内へ移動する現象も起こってしまうのです。このことにより、水分不足と同じような状態になり、体の不調を感じる人もいるでしょう。
また「早期ダンピング症候群」よりも遅く症状が現れるのが「後期ダンピング症候群」です。「後期ダンピング症候群」は胃の中に蓄えられていた食べ物が急に排出されたことで、血糖値が上昇し、体の不調へとつながります。それぞれ発生原因が異なることはもちろん、発生する症状・時間も異なる病気です。
症状を教えてください。
ダンピング症候群は早期と後期の2種類があるとご説明しましたが、早期と後期ではそれぞれ症状が異なります。「早期ダンピング症候群」の特徴は食後比較的早く症状が現れることはもちろん、眠気・めまいなどの症状が現れる場合がある点が特徴です。
一方で「後期ダンピング症候群」はだるさやめまいなどの低血糖症状が現れます。万が一体に異変を感じた場合は、ダンピング症候群を引き起こしている可能性も考えられますので、我慢せずに早めに医師に相談をしてみることも考えてみましょう。
一方で「後期ダンピング症候群」はだるさやめまいなどの低血糖症状が現れます。万が一体に異変を感じた場合は、ダンピング症候群を引き起こしている可能性も考えられますので、我慢せずに早めに医師に相談をしてみることも考えてみましょう。
何が原因で起こるのでしょうか?
「早期ダンピング症候群」であれば、胃の切除によって食べ物が胃に蓄えられないことが原因として考えられます。
食べ物が胃に蓄えられなくなると、胃で消化され切っていない食べ物がそのまま腸へ流れ込んでしまうのです。そうなると血液の水分が腸内に移動してしまい、栄養素を吸収する空腸が大きくなったり、循環血漿量(じゅんかんけっしょうりょう)が減ったりして体に不調を与えます。
一方で「後期ダンピング症候群」はインスリンの分泌が大きく関係しています。胃に溜まった食べ物が急に排出されることで、一気に炭水化物が吸収されてインスリンの分泌が増えてしまうのです。このことで低血糖になり「後期ダンピング症候群」を引き起こす原因になります。
食べ物が胃に蓄えられなくなると、胃で消化され切っていない食べ物がそのまま腸へ流れ込んでしまうのです。そうなると血液の水分が腸内に移動してしまい、栄養素を吸収する空腸が大きくなったり、循環血漿量(じゅんかんけっしょうりょう)が減ったりして体に不調を与えます。
一方で「後期ダンピング症候群」はインスリンの分泌が大きく関係しています。胃に溜まった食べ物が急に排出されることで、一気に炭水化物が吸収されてインスリンの分泌が増えてしまうのです。このことで低血糖になり「後期ダンピング症候群」を引き起こす原因になります。
対処法を教えてください。
まず「早期ダンピング症候群」の場合は、消化しきれていない食べ物が腸に流れ込むことが原因で起こるため、食後はすぐに活発に動かず左側を下にして寝転んだり、浸透圧の低い食べ物を取ったりする必要があります。また1回で取る食事の量を減らして、食事回数を増やしてみることも効果があるでしょう。
「後期ダンピング症候群」の場合は、インスリンの過剰分泌が原因で発症するため、低血糖にならないようにする必要があります。
たとえば出かける際はアメや角砂糖などの甘いものを持ち歩いたり、食事する際は甘いものを身近に備えておいたりすると、異変を感じた場合すぐに対処できるでしょう。また人によっては頻繁に症状が起こる人もいます。その場合は間食を取ることも1つの手です。
「後期ダンピング症候群」の場合は、インスリンの過剰分泌が原因で発症するため、低血糖にならないようにする必要があります。
たとえば出かける際はアメや角砂糖などの甘いものを持ち歩いたり、食事する際は甘いものを身近に備えておいたりすると、異変を感じた場合すぐに対処できるでしょう。また人によっては頻繁に症状が起こる人もいます。その場合は間食を取ることも1つの手です。
編集部まとめ
ダンピング症候群は胃の切除などによって、胃から腸へと食べ物が流れ込む症状で、胃の切除などの手術を行った人は、ダンピング症候群を発症する可能性が高いでしょう。
そのため胃の手術を行った人はダンピング症候群の症状を理解し、発症しないために予防しておく必要があります。
個人差はありますが、横になったり、糖分を摂取したりなどの行動で予防できたり症状を落ち着けたりすることも可能です。
あまりにも症状が長引く場合は症状を放置せずに、医師に相談してみましょう。
参考文献