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「心筋炎の治療方法」はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/02/13

心筋炎は心臓の筋肉である心筋に炎症が起こる病気で、年齢・性別にかかわらず、さまざまな原因で発症します。

軽症で治癒が早い場合もありますが、急激に重症化して、呼吸困難・ショックなどを起こして生命に危険を及ぼす場合もあるのです。

この記事では、心筋症を患った場合にはどのような治療を行うのかについて詳しく解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「心筋炎」を発症すると現れる症状・原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

心筋炎の治療

聴診器

心筋炎はどのような検査で診断されますか?

心筋炎の診断には、症状・経過の情報・診察所見と合わせて血液検査・画像などの結果が必要です。心筋炎が疑われる際に主に行う検査所見をご説明します。
まず、血液検査で注意する内容は、炎症兆候(白血球・CRPの上昇など)の有無・心筋障害(心筋トロポニンT・CK-MBの上昇)の有無・腎臓・肝臓の機能低下です。心電図では、ST-Tの異常・心伝導障害・不整脈の有無を確認します。胸部X線検査で確認することは、心臓と肺の状態(肺うっ血・胸水・心拡大の有無など)です。
心エコー・心臓MRIでは心嚢液貯留の有無・心収縮力の低下・心筋の浮腫の有無を確認します。そして、心筋生検では心筋細胞を少量採取して病理学的検査を行い、心筋変性・心筋壊死の有無を調べます。
これらの検査結果と身体の診察で確認した心筋炎の症状とを照らし合わせて、心筋炎の確定診断を行うのです。

治療方法を教えてください。

心筋炎には、急激な悪化で生命を脅かす可能性のある劇症型心筋症などもあるので、まずは急性期を乗り切るための治療が大切です。心筋炎の診断が確定した場合やその疑いがある場合は、入院して安静を保ち、血圧・脈拍・血中酸素飽和度・尿量などの全身状態を細かく確認します。心電図モニターを装着して常に波形を確認し、急な変化にすぐに対応できるようにします。
心筋炎の治療方法は病因によって異なりますが、一般的には心不全・不整脈に対する治療が主です。強心剤・利尿剤の使用に加え、ときには人工呼吸器を使用して、心臓にかかる負担を減らす治療が行われます。
劇症型心筋症のように突然心臓の機能が悪化してしまう重症の場合は、人工心肺装置として経皮的心肺補助装置(PCPS)を使用する場合が多いです。また、原因が明らかな場合は原因に対する治療を行う場合もあります。
しかし、ウイルスについては急性期にその種類を特定することが困難な場合もあるのが現状です。抗ウイルス療法・ステロイド療法・免疫抑制療法などもありますが、その有効性はまだ確立されていないため、行うかどうかは医師と相談しながら慎重に決める必要があります。

自然治癒しますか?

心筋炎は、病因・重症度・治療のタイミングによって異なりますが、自然治癒する場合もあります
例えば、インフルエンザ・風疹・はしかなどから生じるウイルス性の心筋炎は、比較的経過が良好でかぜ症状が治まるように自然と治る場合が多いです。心筋炎が自然治癒する場合、症状は徐々に改善していきますが、完治するまでには時間がかかる場合があります。
一方、劇症性心筋炎のような重篤な心筋炎の場合、自然治癒する可能性は非常に低いため治療が必要です。また、心臓の機能が低下していると完全に元の状態に戻ることが難しい場合があり、継続的な治療を行う場合もあります。
心筋炎は、自然治癒する場合もありますが、急激な症状悪化の可能性もあるため自己判断は禁物です。どのような場合であっても、症状がみられる際は、早期受診をおすすめします。早期に医師の診断・治療を受けることが、心筋炎の治療や自然治癒の可能性を高めるためには重要です。

編集部まとめ

応援ポーズ
心臓は、私たちが生きていくために必要不可欠な臓器です。

心筋炎はさまざまな原因で起こる病気であり、重症化してしまうこともありますが、早期治療で回復が見込める病気でもあります。

この記事で心筋炎についての知識を深めていただき、早期発見の手助けとなれば幸いです。

心筋炎から身体を守るためには、禁煙・適度な飲酒・バランスのよい食事・適度な運動・十分な睡眠などの生活習慣を普段から心がけることが大切になります。

心筋炎だけではなく、心臓の病気に対する意識を高め、日常生活の中で心臓の健康について意識してみてください。

この記事の監修医師

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