「頭部白癬」は市販薬を使用してもいいの?治療法も解説!【医師監修】

真菌(しんきん)と聞くとあまりなじみがないように思われがちですが、実は水虫などの原因となる白癬菌(はくせんきん)も含まれるのです。
白癬菌とはどこにでも存在しているカビの一種で、存在しているだけでは特に害はありません。しかし、免疫力の低下などで異常繁殖することがあり、注意が必要です。
そのような白癬菌が頭部に及ぼす頭部白癬(とうぶはくせん)という病気について、ご存じでしょうか?
こちらも初めて耳にする人も多いと思われます。そこで、当記事では頭部白癬の治療について解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「頭部白癬」の症状・原因・予防方法はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
頭部白癬の治療
頭部白癬を疑う場合は何科を受診すれば良いでしょうか?
まずは、皮膚科を受診することをおすすめします。皮膚科医は、頭部白癬を含む様々な皮膚疾患の診断と治療に熟練した医師です。
頭部白癬は、症状や病歴などを聞き取り、頭皮の観察や白癬菌の検査などを行うことで診断されます。診断が確定すると適切な治療法を決定し、症状によっては処方箋を出して、投薬治療を行います。
また、症状が重篤な場合や、合併症がある場合には、内科や感染症専門医の紹介を受けることもあるのです。
どのような検査で診断されますか?
- 観察
- 顕微鏡検査
- 血液検査
最初に行うことは皮膚科医による頭皮の観察です。特徴的な症状や、白癬菌による皮膚の変化を確認します。頭皮から採取した試料を顕微鏡で観察し、白癬菌の存在を確認します。検査材料を採取部位を的確に判断しなければなりません。
皮膚科医にも相応のスキルが必要です。症状の程度によって、白血球数や炎症反応などの血液検査が行われることがあります。
これらの検査によって、頭部白癬の診断が確定され、適切な治療法が選択されます。
治療方法を教えてください。
- 外用薬の使用
- 内服薬の使用
- ライト療法
- 衛生対策
外用薬として、抗真菌薬やステロイド剤を含む薬剤を使用します。クリーム・ローション・シャンプー剤などを使用し、頭皮に直接塗布することで白癬菌の繁殖を抑制し、最終的には消滅を狙うものです。
内服薬として、抗真菌薬が使用されます。重症の場合や外用薬のみでは治療が困難な場合には、内服薬が処方されることもあるのです。頭皮を紫外線に照射することで、白癬菌の増殖を抑えます。
一般的には、外用薬と併用することで、治療効果を高められます。頭部白癬の感染を防ぐためには、衛生対策が最も有効です。
清潔なタオル・ヘアブラシの使用・帽子の洗濯・消毒・共用品の共有を避けましょう。治療期間は、症状の程度によって異なりますが、数週間から数か月かかることがあります。
治療中に症状が悪化したり、新たな症状が現れたりした場合は、すぐに皮膚科医に相談することが重要です。
市販薬は使用できますか?
頭部白癬は、一般的に抗真菌薬と呼ばれる薬剤で治療されます。
これらの薬剤には、テルビナフィン・ケトコナゾール・フルコナゾールなどが含まれます。これらの薬剤は症状の重さに応じて、内服薬・外用薬・または両方を組み合わせて併用する場合もあるのです。
したがって、頭部白癬を自己診断せずに、皮膚科医に相談しましょう。適切な処方薬を使用することが、おすすめです。
編集部まとめ
頭部白癬について、詳しく解説しました。真菌感染症の一種で、頭皮や毛髪に発生する病気です。
白癬菌と呼ばれる真菌が原因で発症するのですが、白癬菌は特別な菌ではなく、どこにでも存在します。そのため、感染経路も幅広くなるため、頭皮の環境を清潔に保つことが有効です。
代表的な症状は、頭皮のかゆみや痛み・頭皮の赤みや腫れ、フケの大量発生があります。
そして白癬菌が繁殖する原因は、ストレス・栄養不足などによる免疫力の低下です。結果的に他の病気の予防にも繋がるため、意識して生活習慣の改善に取り組んでください。
治療についても完治が見込める病気です。むやみに自己診察をせず、早い段階で皮膚科医を受診しましょう。治療内容は主に投薬が行われており、外用薬・内服薬・外用薬と内服薬の併用があります。
どのような症例においても、早期発見・早期治療に努めてください。