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「リンチ症候群」は「大腸がん」や「卵巣がん」を発症しやすくなるの?【医師監修】

 公開日:2025/01/22

リンチ症候群とは、大腸がんや子宮体がんなどを発症しやすい遺伝性のがん体質です。

原因は遺伝子の変異であり、ご家族にがんの方が多い場合は疑った方が良いと考えられています。

しかし、あまり聞き慣れない病名であり、具体的な症状などを知らない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、リンチ症候群についてご紹介します。発症する原因・症状なども併せて解説するので、参考にしてください。

※この記事はMedical DOCにて『「リンチ症候群」は「大腸がん」や「卵巣がん」を発症しやすくなるの?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

リンチ症候群とは?

症状から病気を発見する男性医師

リンチ症候群はどのような病気でしょうか?

リンチ症候群とは大腸がんや、子宮体がんなどのがんになりやすい体質のことを表します。大腸がんや子宮体がん以外にも、下記のようながんを発症しやすい傾向があります。

  • 胃がん
  • 卵巣がん
  • 膵臓がん
  • 膀胱がん
  • 十二指腸がん

この病気の特徴は、遺伝性の病気である点です。家族内にも上記のような、がんを発症している方が複数いる可能性があります。また、発症年齢が若い点も大きな特徴です。平均発症年齢は43〜45歳となっており、一般的ながんの平均発症年齢よりも若いです。
さらに同時に複数のがんを発症したり、治療後に違う種類のがんや、同様のがんを複数回発症したりすることもあります。

発症する原因を教えてください。

この病気の原因は、遺伝子情報を含む染色体の中にあるミスマッチ修復遺伝子の変異です。MLH1・MSH2・MSH6・PMS2といったミスマッチ修復遺伝子は、本来DNAの複製時に重要な役割を持ちます。
通常、細胞が分裂する際はDNAのコピーが作成され、分裂する細胞に分配されます。その時、ごく稀にコピーした際にミスが起こることがあり、そのミスを修復するのがミスマッチ修復遺伝子です。
しかし、ミスマッチ修復遺伝子に異常があると、ミスが修復されなかった細胞が蓄積されます。その結果、蓄積した細胞ががん化してしまうためがんを発症しやすい体になってしまうのです。
がんは2人に1人が発症する病気です。しかし若年で発症する場合はこのように遺伝子の変異が考えられ、ご家族にがんの方が多い場合は疑った方がいいでしょう。

どのような症状がみられますか?

この病気の症状はがんの種類によっても異なり、内容は一般的ながんと同様です。例えば、次のようなものが挙げられます。症状の例として、大腸がんの場合は腹部の痛み・下痢・便の形状の変化などが挙げられます。
また、子宮体がんの場合であれば、不正出血・生理不順・排尿痛などが代表的です。卵巣がんの場合は、下腹部の圧迫感・腹部痛・消化器症状などが挙げられます。その他のがんの場合でも、リンチ症候群の症状として特別なものはほとんどありません。

編集部まとめ

健康診断の結果
リンチ症候群は遺伝性の病気であるため、ご家族の中で頻繁にがんを発症する方がいる場合には、すぐに疑って検査を受けた方が良いです。

症状が現れてからでは、発見が遅く治療方法が限られるかもしれません。また、ご自分にこの病気が判明した場合には、ご家族にも遺伝している可能性があります。

万が一に備えて、ご家族の検査も早めに受けましょう。この病気は疑わないと診断されにくいとされているため、早期発見のためにも正しい情報を把握することが大切です。

この記事の監修医師