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「脂質異常症」の検査・治療法はご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2025/01/25

脂質異常症とは、脂質の中でも特に悪玉コレステロールや中性脂肪が多い状態を指します。

コレステロールや中性脂肪は、本来であれば身体の健康に欠かせない重要な物質です。

しかし、多すぎると動脈硬化を引き起こすなどの悪影響を及ぼす可能性があり、脂質異常症は決して軽視できない病気です。

今回は、脂質異常症について詳しく解説します。治療法についても取り上げるので、今後の参考にしてください。

※この記事はMedical DOCにて『「脂質異常症」の原因・食事の注意点はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

脂質異常症の検査と治療

お腹周り

どのような検査で診断されるのでしょうか?

脂質異常症の検査は、基本的に採血による血液検査です。悪玉コレステロール・善玉コレステロール・中性脂肪の値を調べて診断を下します。
値を正確に調べるため、朝食前の空腹時に測定することが一般的です。診断基準は以下のように定められています。

  • 悪玉コレステロールが140mg/dL以上である
  • 善玉コレステロールが40mg/dL未満である
  • 中性脂肪が150mg/dL以上である

これらのうち、いずれかにでも当てはまる場合には脂質異常症と診断されます。他にも、遺伝性を検査するための家系内調査アキレス腱の厚さの検査などが行われることが多いです。

治療方法を教えてください。

治療は個々人の状態に応じて行われます。それぞれの症状の程度に合わせて目標値が設定されるため、その目標値に向けて治療を行う流れが一般的です。
症状が軽ければ、まずは生活習慣の改善から行います。いわゆる食事療法と運動療法です。食事療法では以下のような治療を行います。

  • 総カロリー数を適正値に抑える
  • 野菜や果物を多く摂取するよう心がける
  • 肉類を控え、青魚を摂取するようにする
  • 悪玉コレステロールが高い場合には、卵・マヨネーズ・レバー・すじこなどを控える
  • 中性脂肪が高い場合には、炭水化物やアルコールを控える

運動療法では、持続的に運動するよう求められます。例えば、ウォーキング・ジョギング・水泳といった有酸素運動がおすすめです。1回につき30分以上を週3回から4回行うよう推奨されています。
食事療法と運動療法では目標値に近づけられなかった場合や重症の場合には、薬物療法へと踏み切ります。悪玉コレステロールが高い場合にはスタチン系薬剤・脂質吸収抑制剤を処方し、中性脂肪が高い場合にはフィブラート系薬剤が処方されるケースが多いです。
医師の指示に従いながら、目標値に近づけるようにしましょう。

治療薬はどのようなものがありますか?

治療薬は、血液中の脂質の値によって変わります。脂質異常症の中には、悪玉コレステロールが高い場合・中性脂肪が高い場合・善玉コレステロールが低い場合の3つのタイプがあるためです。
主に悪玉・善玉コレステロールの値が基準値と外れているタイプの場合には、スタチン系薬剤・脂質吸収抑制剤を使用します。中性脂肪の値が高い場合には、フィブラート系薬剤を使用します。
しかし、治療薬を処方して値だけ正常値に戻しても生活習慣が改善されなければ再発する恐れがあり、良い治療とはいえません。重症の場合を除き、まずは生活習慣を改善する治療から行われるケースが一般的です。

編集部まとめ

走る人
脂質異常症は生活習慣と深い関わりのある病気のため、長期的な自己管理が求められます。改善していくためには我慢を強いられることが多いかもしれません。

しかし、放置していれば動脈硬化・狭心症・心筋梗塞・脳出血・脳梗塞のリスクを高めることがわかっています。今後の健康のためにも、放置してはおけません。

自覚症状がないのでなかなか実感が湧きにくいですが、重篤な病気を発症する可能性があることを忘れず、早期発見・早期治療を心がけるようにしましょう。

この記事の監修医師