「尿膜管がん」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?【医師監修】
尿膜管がんとは、尿膜管と呼ばれる部位にがんが発生する病気です。あまり聞き慣れない部位であるため、この病気を知らない方も多いでしょう。
非常に珍しいがんであり、症状が少ないため気づくのが遅れる可能性があります。しかし、悪化すると他のがん同様に転移などの心配があるため注意が必要です。
早期発見のためにも、尿膜管がんについて理解しておきましょう。本記事では尿膜管がんの主な症状と原因をご紹介します。
※この記事はMedical DOCにて『「尿膜管がん」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
尿膜管がんの主な症状と原因
尿膜管がんの主な症状を教えてください。
尿膜管癌が進行していくと次のような症状が現れることがあります。
- 血尿
- 痛み
- 頻尿
- 腫れやしこり
最も多くみられる症状が血尿です。尿の中に血が混ざることで濃い色の尿が出るようになります。また、様々な痛みが伴うこともあります。
主な痛みとしては、腰の側面部分の痛みと排尿痛です。排尿痛は、膀胱炎の時に見られるような痛みであり、排尿の終わりにかけて特に痛みが強くなるという特徴があります。膀胱炎と同様の症状としては頻尿も挙げられます。30分~1時間でトイレに行きたくなってしまい、排尿回数が増えるのです。
また、腫れやしこりも症状の1つです。悪化したがんが大きくなったことでしこりを感じるようなことがあり、膀胱周辺で違和感を覚える原因となります。
尿膜管がんは珍しいがんだと聞いたのですが…。
しかし、発生頻度は少ないながらも、発症は41~70歳までの男性に多いことが分かっています。比較的若い年代から発症の可能性があり、このがんは進行が早い特徴を持っているため、万が一発見が遅れると取り返しが付かない状況になってしまうかもしれません。
そのため、早期発見できるように定期的な検診などを受けましょう。
尿膜管がんの原因について知りたいです。
- 喫煙
- 過度な飲酒
- 先天性尿路奇形
- 遺伝
膀胱がんの原因の1つが喫煙です。非喫煙者の2~3倍の割合で膀胱がんになりやすいといわれており、尿膜管がんも同様の原因から発症すると考えられます。また、過度な飲酒も膀胱がんを発症する原因であるため、尿膜管がんの原因の1つに挙げられます。
その他には、先天性の尿路奇形も原因の1つです。通常、構造は残ったままですが、尿膜管は出生後に閉じています。
しかし先天的な尿路の奇形によっては、通常とは異なる形状になっていたり閉じられていなかったりするため、がん化する可能性があるのです。
さらに、遺伝も原因の1つに挙げられており、家族に膀胱がんなどを患っている方がいる場合には遺伝するケースがあります。
編集部まとめ
尿膜管がんは、尿膜管と呼ばれる部分にがんが発生する病気です。がんの発生率は非常に稀であるため、症例が少なく効果的な治療方法も分かっていません。
また、発見が遅れる傾向がある点も大きな特徴です。症状がほとんどないため、早期発見が難しいのです。
早期発見のためには、定期的に検診などを受けてがんの発病にいち早く気づけるようにしておきましょう。
また、少しでも異変を感じた場合には専門の医療機関に相談しましょう。早期発見と早期治療が、完治の可能性を上げ、再発リスクを下げられる効果的な方法です。
参考文献