「糖尿病性ニューロパチー」の注意が必要な初期症状・治療法はご存知ですか?
糖尿病に罹患すると合併症が起こると聞いたことはありませんか?
主な合併症は3つあり、「網膜症」「腎症」「末梢神経障害(ニューロパチー)」です。その中の「ニューロパチー」について解説します。
ニューロパチーを発症するとどのような症状が現れるのでしょうか。また、もしニューロパチーを発症したらどのように治療していくのでしょうか。
糖尿病自体は身近な病気ですので、ぜひ参考にしてみてください。
※この記事はMedical DOCにて『「糖尿病性ニューロパチー」の初期症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
糖尿病性ニューロパチーの受診と治療
注意が必要な初期症状を教えてください。
ガラスや画鋲など踏んでしまうと痛いはずですが、痛みを感じないようであれば神経障害は相当進行しています。
傷に気づかず放置しているとそこから細菌などが入り込み壊疽に発展するケースも少なくはありません。
筋力が低下すると歩行が難しくなります。自律神経障害の症状として、 無痛性心筋梗塞・無自覚性低血糖は特に注意が必要です。気づかずに病状が進行し、命に関わることもあります。
何科を受診すれば良いでしょうか?
糖尿病が原因ですので、すでに糖尿病と診断されている方は、症状が現れたらまずかかりつけ医へ相談してください。
診断基準を教えてください。
- 糖尿病がある
- 糖尿病による末梢神経障害以外の末梢神経障害をきたす疾患がない
上記2つは必須項目になります。
- 糖尿病性多発神経障害といわれる自覚症状がみられる
- 両側アキレス腱反射が低下している、またはない
- 両側内踝の振動覚が悪い(C128音叉より10秒以下)
上記3つは条件項目となり、3つの内2つ当てはまると神経障害があるとなります。
より正確に診断するためにも検査があり、検査内容は以下のとおりです。
- アキレス腱反射
- モノフィラメント検査
- 心拍変動検査
- 神経伝導検査
神経障害は早期発見が大切です。定期的に検査を受けましょう。
どのような治療を行うのでしょうか?
薬物療法を行うこともあります。神経障害の原因であるソルビトールを取り除くためのアルドース還元酵素阻害薬を初期に使用することがありますが、症状はあまり改善しないので注意が必要です。
痛みに対しては鎮痛剤、下痢や便秘には整腸剤など症状に合わせた薬剤を使用します。神経の保護や栄養の観点よりビタミン剤(ビタミンB1とビタミンB12)が処方されることもあります。
血糖コントロール以外に、生活習慣の改善も必須の治療です。アルコール摂取を控える・定期的に運動をする・バランスの良い食事を心がけるなど、できるところから改善していきましょう。
編集部まとめ
糖尿病患者さんにおいて、糖尿病性ニューロパチーは比較的起こりやすい合併症ではありますが、放置すると大変です。
しかし早めに気付き治療をすることで、症状を緩和することは可能です。そのためにも痺れや痛みなどが継続する場合は早めに受診しましょう。
そして、血糖値のコントロールやフットケアをしっかり行い健康的な生活をすることで、糖尿病性ニューロパチーが進行しない状態を維持しましょう。