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「社交不安障害」の症状・原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/02/27
社交不安障害の症状と原因

社交不安障害は、ほかの人の注目を浴びる場面で話をしたり食事をしたりする時に、強い不安と恐怖を感じる病気です。

よくあがり症と混同されますが、この病気の場合は1対1の場面などでも症状が現れ、長い期間継続します。

精神療法や薬物療法によって軽快しますが、本人も周囲もなかなか病気に気付きにくいといった特徴があります。

今回は社交不安障害について、その症状について紹介しましょう。

日常生活について気を付けることや、病気になりやすい人はいるのかなどについても述べますので、ぜひ参考にしてみてください。

※この記事はMedical DOCにて『「社交不安障害」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

社交不安障害の症状と原因

不安を感じる女の子

社交不安障害はどのような病気でしょうか?

社交不安障害とは、他者の注目を浴びる場面において著しい恐怖や不安を感じ、回避行動を取ってしまう病気を指します。またはその恐怖や不安を感じることが他者から否定的な評価に繋がることを恐れる病気です。
一方で多くの人が、大勢の前でのスピーチや発表会で緊張し、あがってしまうという経験があるかと思います。それはパフォーマンス恐怖として社交不安障害の一つに数えられますが、社交不安障害は本人が感じる恐怖や不安が現実や社会文化的背景に釣り合わないものであったり、6カ月以上と長く続いたりすることが特長です。
スピーチや発表会などの場面でのみ極度に緊張を感じる人は、「パフォーマンス局所型」として、社交不安障害とは別の扱いになっています。

どのような症状がみられますか?

この病気では他者の注目を浴びる可能性のある1つ以上の社交場面において、本人が強い恐怖や不安感を感じ、それを回避するような行動をとってしまいます。この恐怖や不安感は大勢の注目を浴びる場面ではもちろん、例えば会社の同僚や同級生など対等な立場における1対1でのコミュニケーションでも現れてしまうのです。
この病気の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 人前でしゃべったり食事をしたりする場面で、顔が引きつる・手が震える・赤くなるなど
  • そこまで親しくない人に、はっきりと自分の意見を言えない
  • 人からの頼まれごとを断れない
  • 人と違う意見を言えない
  • 異性になかなか声をかけられない

この病気にかかった人は、こういった症状によってたいへんな苦痛を感じていたり、学校や職場に行けなくなるなどの障害を引き起こしていることが多いです。

なりやすい人の特徴を教えてください。

この病気にかかりやすい人の傾向はよくわかっていません。この病気が起こる脳の構造については研究が進んでいますが、性格との関係やなりやすい人の特徴がはっきりとは解明されていないのが現状です。
社交不安障害は最近になって成立した病気で、人との関わりが広く活発になった現代社会において注目されるようになりました。ずっと昔、親戚や村内でコミュニケーションが完結していた時代には、この病気を持っていても気づかない人がほとんどでした。
人付き合いが活発な社会において生まれた病気といえるでしょう。

発症する原因を教えてください。

この病気は多くの精神病と同じく、原因がはっきりとわかっていないのが現状です。ただこの病気の原因の1つとして、扁桃体が過剰に反応しやすく、前頭葉がうまく扁桃体をコントロールできていないことが知られています。
脳にある扁桃体は、危険を察知する働きをしています。この扁桃体が過剰に反応することで、症状が出てくると考えられているのです。

社交不安障害は性格と関係がありますか?

性格との関連はわかっていませんが、気質との関連性は指摘されています。気質とは、性格やパーソナリティーの土台になるものです。
赤ちゃんの頃にある刺激に対して高い反応を示した子は、成長してもその気質が続き、不安症の危険因子になることがわかってきています。

編集部まとめ

不安な女性
社交不安障害は、人に見られている場面で何かをすることに、強い恐怖や不安を感じる病気です。

家族など身近な人に接する時には症状が現れないため、周囲の人の理解を得づらいといった特徴があります。

精神療法や薬物療法によって軽快する病気ですので、もし人付き合いで辛さを感じている人がいたら、まずは精神科やメンタルクリニックを受診してみましょう。

この記事の監修医師

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