「脊柱靱帯骨化症の注意したい3つのこと」とは何かご存じですか?医師が解説!
公開日:2025/11/20

脊椎をつなぐ靭帯が肥厚し硬くなることにより脊髄が圧迫される「脊柱靭帯骨化症」とは、一体どのような病気なのでしょうか。 今回は、その気になる症状・治療方法・治療期間・注意点などを詳しく解説します。 脊柱靭帯骨化症は、脳から連続した中枢神経の一部である脊髄が圧迫されることにより様々な神経症状が現れる病気です。 障害される靭帯の種類や位置によって症状の出方が異なります。その中でも代表的なのが後縦靭帯骨化症と黄色靭帯骨化症の2つです。 この2つは難病に指定されている病気で、症状が急激に悪化する可能性もあります。今回は脊柱靱帯骨化症の治療方法と注意点について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
※この記事はメディカルドックにて『【医師監修】背筋や首の違和感には要注意!「脊柱靱帯骨化症」とは?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
目次 -INDEX-
脊柱靱帯骨化症の治療方法と注意点
脊柱靱帯骨化症の治療方法はどのようなものがありますか?
軽度の場合には、神経の圧迫が進まないように固定するための装具を装着し、安静をはかるのが一般的です。また、患部に負担がかからないような生活動作の指導も行います。場合によっては、転倒の危険があるような激しいスポーツ・バイク・自転車などの使用を制限することが必要です。
痛みが強い場合には痛み止めのお薬で対応します。保存療法での効果は1か月以内に現れることがほとんどです。安静を保っても症状が改善しない場合や神経症状が強い場合には手術を検討することになるでしょう。
手術では骨化した靭帯を切除し、脊髄の圧迫を取り除きます。その後は脊椎を器具で固定することもあります。術式は骨化した部位や進行度によって様々です。しかし、どの手術も硬膜損傷や神経損傷といった危険なリスクが伴うことがある難しい手術となります。
痛みが強い場合には痛み止めのお薬で対応します。保存療法での効果は1か月以内に現れることがほとんどです。安静を保っても症状が改善しない場合や神経症状が強い場合には手術を検討することになるでしょう。
手術では骨化した靭帯を切除し、脊髄の圧迫を取り除きます。その後は脊椎を器具で固定することもあります。術式は骨化した部位や進行度によって様々です。しかし、どの手術も硬膜損傷や神経損傷といった危険なリスクが伴うことがある難しい手術となります。
脊柱靱帯骨化症は治療で完治しますか?
患部の安静を保って一時的に症状が改善しても、何らかの衝撃により神経症状が進んでしまうことがあります。長い時間をかけて少しずつ症状が進行していく場合もあれば、転倒などが引き金となり突然重症化してしまうこともあるのです。また、重症度が高い場合には手術をしても完全な回復が見込めない可能性もあります。
脊柱靱帯骨化症の治療期間や注意点などあれば教えて下さい。
脊柱靭帯骨化症の治療期間は、保存療法のみの場合には1か月、手術療法の場合には3か月以上を要します。また、一度症状が治まっても神経症状が進行すれば繰り返し治療を行っていく必要があります。
脊柱靭帯骨化症は、些細な刺激でも神経の圧迫が進み症状が急速に悪化してしまうことがある病気です。場合によっては手足に麻痺が残る可能性もありますので、転倒・振動・衝撃などには特に注意が必要です。
脊柱靭帯骨化症は、些細な刺激でも神経の圧迫が進み症状が急速に悪化してしまうことがある病気です。場合によっては手足に麻痺が残る可能性もありますので、転倒・振動・衝撃などには特に注意が必要です。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
脊柱靭帯骨化症は脊髄症状が特徴の病気です。初期においては神経症状が現れないことが多く、病院を受診するかどうか迷ってしまうときもあるでしょう。
初期症状としては背筋の痛みや違和感として現れることもあります。それだけで病気を判断することは難しいですが、他の病気が隠れている可能性もあります。そのため、背筋や首の違和感を感じた時には放置せずに受診することが重要です。
初期症状としては背筋の痛みや違和感として現れることもあります。それだけで病気を判断することは難しいですが、他の病気が隠れている可能性もあります。そのため、背筋や首の違和感を感じた時には放置せずに受診することが重要です。
編集部まとめ
手足に痛み・しびれ・感覚障害といった神経症状が現れる脊柱靭帯骨化症についてご紹介しました。
脊柱靭帯骨化症の中でも、後縦靭帯骨化症と黄色靭帯骨化症の2つは難病にも指定されている病気です。
軽度の場合には保存療法が一般的で、強い神経症状がみられれば難易度の高い手術が必要となります。
また、重症化した場合には症状が回復しにくくなる可能性があります。手足の感覚に違和感を感じることがあれば、できるだけ早めに専門機関へ受診することが大切です。

