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「血友病」の初期症状・原因はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/03/02
血友病の特徴

血友病とは、怪我などによって出血した際に、血が止まらなくなる病気です。血が止まらないため、軽い傷でも大量の出血につながる可能性があります。

また、重症となる事故などの場合は、出血が止まらないために命にかかわるケースもあるでしょう。

そこで本記事では、血友病とはどのような病気かをご紹介します。発症する要因・初期症状・遺伝するかなども解説するので参考にしてください。

※この記事はMedical DOCにて『「血友病」の初期症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

血友病の特徴

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血友病はどんな病気ですか?

血友病とは、通常行われるはずの止血が上手くいかない病気です。
人間の体には全12種類の血液凝固因子と呼ばれるものがあり、出血した際にこれらが作用することで血を固めてくれます。しかし、この血液凝固因子が不足していると、一度出血を起こすと血が止まりにくくなるのです。軽い怪我や打撲などでも、一度出血をすると止血までに時間がかかってしまいます。
また、血友病には血友病A血友病Bの2種類があります。血友病Aは、血液凝固第Ⅷ因子が少ないタイプで、血友病Bは血液凝固第Ⅸ因子が少ないタイプです。

血が止まらなくなるメカニズムを教えてください。

血液が止まらなくなるメカニズムには、血液凝固因子が大きく関係します。本来、出血後に血が固まるのは、血管・血小板・血液凝固作用が段階的に作用することで成り立っているのです。
まず出血が起きた直後には、血管が収縮して血液が流れ出るのを防ぎます。次に、血小板によって一時止血が行われます。血液中の血小板が集まり、傷口に付着することで血小板による栓が作られるのです。
しかし、これだけでは止血は十分ではありません。そこで、次に行われる止血が血液凝固因子などによる二次止血です。数種類の血液凝固因子が連動して、フィブリンと呼ばれるたんぱく質を作ります。
フィブリンは傷口に網を張って頑丈な止血栓を作ります。これらの一連の流れで止血が行われるのです。しかし、血友病では血が止まりにくくなります。その理由は血液凝固因子が不足あるいは欠乏しているためです。
血液凝固因子によって本来作られるはずのフィブリンが生成されないため、頑丈な止血栓が作られず血が止まらなくなります。

血友病の初期症状とはどんなものですか?

この病気の初期症状としては、さまざまな部位で起こる出血です。出血にも、傷などで眼に見える出血である体外出血と、眼に見えない部分で起こる体内出血の2種類があります。
血友病の場合、体内出血の方が多い傾向です。また、体内出血の中でも多いのが、次のような出血です。

  • 関節内出血
  • 筋肉内出血

関節内出血は、血友病の出血症状の中でも最も多い症状となります。通常関節は、骨と骨の間が靭帯や筋肉でつながっており、その内側を関節滑膜が覆っています。
関節滑膜の内側は関節腔と呼ばれる袋状の構造です。関節内出血は、関節腔での出血であることが多いです。
筋肉内出血は、筋肉を覆う筋膜・筋肉の間・筋肉の内部で出血します。出血が多いと血腫ができやすく、筋肉を圧迫するため痛みや腫れが伴うこともあります。

血友病が発症する原因を教えてください。

血友病の原因は、先天性のものと後天性の2種類です。
先天性の場合、X染色体に存在する遺伝子が異常を起こしており、その影響で血液凝固因子が生まれつき不足しています。血友病を発症している方のほとんどが、先天性の遺伝子異常によるものです。
一方の後天性の場合は、後天性血友病と呼ばれる病気です。後天性血友病の原因は、はっきりと解明されていません。発症した方の中には、持病のない方もいればがんを患っている方も存在し、明確な病気との関連や原因が判明していないのです。

血友病は遺伝するのですか?

この病気は、遺伝することがわかっています。後天性血友病の場合は、突然変異であることがわかっています。
しかし、先天性の場合は、血友病の保因者である母親を通して男性に遺伝することが明らかになっているのです。そのため、血友病を発症する方のほとんどが男性です。

編集部まとめ

手当てをする看護師
血友病とは、出血が止まりにくい病気です。男性に多い病気ですが、女性でも発症する可能性があります。

薬によりある程度は対処が可能ですが、あくまでも対症療法や予備的な治療法となるため、投薬量の把握や対処方法などの事前準備が大切です。

万が一に備えて、専門の医療機関を受診し、計画的に治療を進めましょう。

この記事の監修医師

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