腎不全の末期症状「尿毒症の初期症状」はご存知ですか?医師が解説!
公開日:2025/12/16

尿毒症とは、尿によって体内の老廃物や毒素を排出できず、そのまま体内に蓄積してしまう病気です。
腎機能の低下により引き起こす可能性があり、誰しも発症のリスクがあります。そのため、発症の原因や放置するリスクなど、正しい知識を押さえておく必要があるでしょう。
そこで本記事では、尿毒症とはどのような病気なのかをご紹介します。
※この記事はメディカルドックにて『「尿毒症」とは?症状・原因・治療法も解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
目次 -INDEX-
尿毒症はどんな病気?

尿毒症はどんな病気なのか教えてください。
- 尿毒症とは、腎不全の末期症状として起こる可能性が高い病気です。
- 通常、腎臓の機能が正常であれば、体内の老廃物や毒素は尿に溶けて排出されることとなります。しかし、腎臓に障害が起きると十分な機能が果たされなくなります。
- その状態が進行すると末期腎不全というものとなり、尿に老廃物などが正常に溶けて排出されなくなってしまうため、尿毒症という病気を発症してしまうのです。
発症した場合はどのような症状がみられますか?
- 尿毒症は、体外へ老廃物・毒素を排出できないことにより全身にさまざまな症状を引き起こします。代表的なものとしては、次のような症状が挙げられます。
- 倦怠感
- 全身のむくみ
- 息苦しさ
- 食欲の低下
- 吐き気
- けいれん
- 貧血
- 不整脈
- まず初期症状としては、軽度な体調不良です。倦怠感・疲れやすさを自覚するようになり、体調の異変を感じるでしょう。
- 他にも全身に現れる異常としては、むくみや息苦しさなどが現れます。そして、食欲の低下・吐き気・下痢・皮膚のかゆみ・出血・視力障害などあらゆる場所で初期症状が出始めるでしょう。
- 徐々に進行してくると脳にも異常が出始め、思考力が低下したり情緒が不安定になったりすることもあります。不眠や頭痛などを引き起こす可能性もあります。
- 中枢神経への影響が大きくなるとけいれんを引き起こす可能性も高いです。血液にも影響が出るため、貧血も起こります。
- 貧血が起こり始めると、関連性の高い動悸や運動時の疲れなども発生する恐れがあるでしょう。また、進行していくと電解質異常の併発が起こります。
- これによって、不整脈も発症します。その他の心肺機能に関わる症状としては、呼吸困難・咳・尿毒症性肺と呼ばれる肺に水がたまる病気を発症する可能性も高いです。
- 骨の代謝が悪化してもろくなったり、皮膚が黒ずんだりする症状も現れる可能性があります。進行度合いによって、全身に症状が生じるため、注意が必要です。
尿毒症は何が原因で発症するのですか?
- この病気は、腎不全の末期症状として発症する可能性の高い病気です。そして、腎不全は腎臓に何らかの障害が発生して、機能が低下するために起きます。
- 腎機能が低下する原因としては、次のようなものが挙げられます。
- 脱水
- 薬剤
- 急性糸球体腎炎
- 尿管結石
- 前立腺肥大症
- 糖尿病
- 高血圧
- これらさまざまな症状・病気によって腎機能の低下は発生するのです。
- 特に、高齢になると糖尿病や高血圧などのリスクは高まり、慢性腎臓病などを引き起こす可能性が高いため注意が必要です。
- これらの病気を放置しているため、腎機能の低下を招き、腎不全の末期になると尿毒症を引き起こすメカニズムとなります。
尿毒症になりやすい体質などはありますか?
- 糖尿病や高血圧を引き起こしている方が、腎機能の低下を起こしやすくなり尿毒症を起こしやすくなるため、これらの病気を患っている方は尿毒症になりやすいといえるでしょう。
- しかし、腎不全によっておこる病気であるため、一概になりやすい方というのは分類が難しいといわれています。
- 年齢や性別で尿毒症になりやすい方を分けるのは非常に困難です。
尿毒症を放置するリスクを教えてください。
- 尿毒症の恐ろしさは、放置しておくと最悪命に関わることがある点です。
- 腎機能の低下は、放置しておくとさまざまな症状を発生させるリスクがあります。
- 中でも尿毒症の放置は、腎不全だけでなく、心不全・昏睡状態などを引き起こす可能性があるのです。いずれも命に係わる病気なので、大変注意が必要です。
編集部まとめ

尿毒症は、体外へ毒素を排出できなくなってしまう恐ろしい病気です。そのまま放置しておくと、最悪の場合命に関わる重大な病気です。
また、治療を行うことになっても、透析治療となると1日に何度も時間をかけて行う必要があります。生活を大きく変えることにもなるため、大変な治療です。
病気にかからないようにすることはもちろん、かかったとしても悪化させることがないように正しい知識を身につけて、対応できるようにしておきましょう。
参考文献