「坐骨神経痛」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?【医師監修】
お尻から足にかけて痛みがある、腰を反らすとしびれを感じるといった症状がある場合は坐骨神経痛かもしれません。
坐骨神経痛とはお尻から足にかけて痛みやしびれを感じる症状の総称です。
坐骨神経痛を引き起こす原因にはさまざまな病気がありますが、主に腰部脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニアの2つが原因となります。
悪化すると歩行困難など重篤な症状につながる危険性があるため、痛みが1週間以上続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。
この記事では、坐骨神経痛の原因・治療方法・予防方法などを詳しく解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「坐骨神経痛」とは?症状・原因・治療方法も解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
坐骨神経痛の特徴
坐骨神経痛の特徴や症状を教えてください。
- 坐骨神経痛は下肢に現れる症状の総称で、お尻から足にかけて痛み・しびれが続きます。坐骨神経は坐骨からお尻の筋肉である「梨状筋(りじょうきん)」から足へと向かう末梢神経であり、人体のなかで一番太く長い末梢神経です。腰からつま先まで伸びているのが特徴です。
- 末梢神経は脳と脊髄からなる「中枢神経」と体の各部を結ぶ役割のほか、身体を自由に動かしたり温度を感じたりする伝導路の役割もあります。坐骨神経痛の主な症状は下記です。
- お尻から足にかけての痛み
- 長時間立っているのが苦痛
- 腰をそらすと足に痛みやしびれを感じる
- お尻の痛みで座り続けることが苦痛
- 歩くと足に痛みがある
- 体をかがめると痛みが増す
- このような状態にひとつでも当てはまる場合は坐骨神経痛の可能性があります。痛みの感じ方や程度は人それぞれですが、お尻や太もも・ふくらはぎ・すねにかけて鋭い痛みやしびれるような痛み・強い張り・冷感・灼熱感・締めつけ感が代表的な症状です。下肢の一部に感じることもあれば、下肢全体に感じる場合もあります。
坐骨神経痛は病名ではなく症状の1つなのですね。
- 坐骨神経痛そのものは病名ではありません。足腰やお尻の痛み・しびれ・筋力の衰えなどの症状を総称して坐骨神経痛と呼びます。
- 症状を引き起こす病気は別にあり、代表的な病気が「腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)」と「椎間板ヘルニア」の2つです。
- 腰部脊柱管狭窄症は50歳以上の中高年世代に多い病気で、加齢により脊柱管が狭くなることで坐骨神経痛を引き起こします。体を反らせる動作が脊柱管を狭めて神経を圧迫することが原因です。
- 腰椎椎間板ヘルニアの場合は20代が最も多く、続いて30~40代や10代に多い病気です。椎間板が潰れて飛び出すことで腰椎の神経を圧迫して坐骨神経痛が起こります。
坐骨神経痛の原因が知りたいです。
- 坐骨神経痛の原因となる病気はさまざまなものがあります。主な原因として腰椎疾患が挙げられ、下記が代表的な病気です。
- 腰部脊柱管狭窄症
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 椎間関節炎
- 梨状筋症候群
- 仙腸関節障害
- とくに多いのが腰部脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニアです。また、長時間のデスクワークや運動不足が坐骨神経痛を引き起こすこともあります。腰椎疾患以外が原因の場合は下記の病気が挙げられます。
- 中毒性疾患(アルコールなど)
- 帯状疱疹
- 糖尿病
- 下肢の動脈閉塞
- 子宮内膜症など婦人科疾患
編集部まとめ
坐骨神経痛は下肢に痛みやしびれを感じる症状で、人によっては動けないほど強い痛みを感じます。
原因となる病気はさまざまなものがありますが、腰部脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニアが代表的です。
重いものを持たない、長時間同じ姿勢を取らないなど日常生活で腰に負担をかけないように注意しましょう。
また、痛みを放置すると歩行困難や排せつ障害など重篤な症状を引き起こす可能性があるため、自己判断はせず早めに整形外科を受診することをおすすめします。