「急性白血病」を疑う症状はご存知ですか?原因についても解説!【医師監修】
公開日:2025/03/24

急性白血病は恐ろしい病気として広く存在を知られています。血液のがんとも呼ばれ、発症してから治療せず放置するとわずか2〜3ヶ月程度で命を落としてしまうほど危険な病気です。
早期の発見・治療が命取りとなるものの、注意すべき症状は病名ほど知られていないのが現状です。
この記事では、急性白血病について症状・原因・発症しやすい年齢などを詳しく解説いたします。自分や大切な存在を守るためにも、ぜひご参考にしてください。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
※この記事はMedical DOCにて『「急性白血病」とは?初期症状や原因についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
目次 -INDEX-
急性白血病とはどんな病気?
急性白血病とはどんな病気ですか?
- 急性白血病とは、血液のがんとも呼ばれ恐れられている病気です。骨髄や血液の中で細胞ががん化して増殖します。
- その細胞の種類によって骨髄性とリンパ性に分類され、さらに病気の進行速度や悪性となった細胞の段階に応じて急性と慢性に分けられます。
- 急性白血病は急激に症状が進行するのが特徴で、あとから慢性白血病に変化することはありません。
- 発症後、治療をせずに放置していると、わずか2〜3ヶ月で命を落とす恐ろしい病気です。
急性白血病になる原因・兆候はありますか?
- 急性骨髄性白血病は、骨髄や血液の中に腫瘍細胞(白血病細胞)が現れる病気です。
- 骨髄は骨の中心部にあり、血液を作る役割を担う場所です。血液細胞のもととなる造血幹細胞が分化して増殖し、血液が作られる過程で骨髄芽球という未熟な血液細胞が生まれます。
- この骨髄芽球の遺伝子になんらかの異変が起こり、がん化した白血病細胞が増殖することで発症します。
- 急性リンパ性白血病は、白血球の中のリンパ球が未熟なうちに悪性化してしまい、増殖することで発症に至る病気です。しかし、このような異変が起こる原因は未だわかっておらず、急性白血病の多くが原因不明です。
- ただし、放射線被曝や抗がん剤治療の後には発症する確率が上がることがわかっています。
- また遺伝性の病気ではないため、親から子へ遺伝する心配はありません。初期の頃には症状が出ないため、症状が進行する前の段階での兆候はないことがほとんどです。
急性白血病を疑う症状を教えてください。
- 初期の頃は特に症状が出ないことが多く、進行してから異変が現れます。主な症状は下記の通りです。
- 倦怠感
- 動悸
- 息切れ
- 肺炎
- 敗血症
- 出血傾向
- 倦怠感・動悸・息切れは、正常に血液が作れなくなるための貧血に伴う症状です。肺炎・敗血症などの白血球の減少による感染症に伴う症状も起こりやすくなります。
- 血小板の減少による出血傾向も強まるため、血が止まりにくいことで症状に気づく場合もあります。
- また、下記の症状にも注意が必要です。
- 肝臓などの臓器の腫れ
- 腰痛や関節痛
- 頭痛
- 吐き気・嘔吐
- これらの症状がみられた場合、白血病細胞が臓器にまで浸潤しているケースもあります。不調を感じたら速やかに医師による診断を受けることが大切です。
急性白血病の発症と年齢は関係ありますか?
- 急性骨髄性白血病の発症頻度は、10万人に2〜3人です。発症率は年齢が上がるにつれて増加するといわれています。
- 40代から徐々に発症率が上がり、60〜70代での発症がもっとも多いです。一方、急性リンパ性白血病は主に小児に発症することが多いです。
- 特に2〜5歳の幼児に多く、15歳未満の小児で発症するすべての白血病のうち急性リンパ性白血病が75%を占めています。
- 成人の場合は45歳を超えるとやや増加する傾向にあり、1年間で10万人あたりに1人の発症率とされています。
編集部まとめ
この記事では急性白血病についてご紹介しました。
急性白血病は、医学が進んだ現代でもいまだに原因が解明されていないため、いつ突然に降りかかってきてもおかしくない病気です。
治療せずに放置してしまうと短期間で症状が進行し、命を落としてしまいます。しかし早期に発見・治療できれば寛解できる可能性も決して低くはありません。
日常的に健康的な生活を心がけることは、異変が起こった場合に早く気づくことにもつながります。
体調の変化を見逃さず、どこかおかしいと感じたらまずは医療機関を受診するようにしましょう。
参考文献
- がん・疾患情報サービス|新潟県立がんセンター新潟病院
- 「白血病」ってどんな病気 急性と慢性の違いは?|NIKKEI STYLE
- 5.急性白血病 |白血病|治療・研究|JALSG
- 急性白血病|各がんの解説|がん診療情報|大阪赤十字病院
- 急性白血病とは(症状・原因・治療など)|ドクターズ・ファイル
- 急性白血病|さまざまながんの診断と治療|がんとともに生きる|社会医療法人宏潤会 大同病院・だいどうクリニック
- 急性リンパ性白血病(ALL) – 13. 血液の病気|MSDマニュアル家庭版
- 骨髄穿刺検査|佐賀大学医学部附属病院 血液・呼吸器・腫瘍内科
- 骨髄検査の説明|豊橋市民病院血液内科
- 急性リンパ性白血病の治療|急性リンパ性白血病(ALL)を学ぶ|がんを学ぶ ファイザー
- 急性リンパ性白血病(ALL) Q&A│小児がん|国立成育医療研究センター
- 急性骨髄性白血病(AML)の再発|おしえて 白血病のコト【中外製薬】
- 急性リンパ性白血病の原因|急性リンパ性白血病(ALL)を学ぶ|がんを学ぶ ファイザー