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「ビタミンAを過剰摂取すると現れる症状」はご存知ですか?管理栄養士が解説!

 公開日:2025/12/04

ビタミンAを過剰摂取すると現れる症状とは?Medical DOC監修医が一日の摂取量・効果などを解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「ビタミンAの多い食べ物」はご存知ですか?不足すると現れる症状も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

中島 三容子

監修管理栄養士
中島 三容子(管理栄養士)

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一般企業で約20年自動車部品の設計補助業務に従事したのち、栄養士の世界へ。2022年に管理栄養士資格取得後は、国家試験対策教材の制作サポートや食育コーディネートに携わる。また、持続血糖測定の管理事務および保健指導を行い、ひとりひとりの「なんとなくわかっちゃいるけど」に寄り添いアプローチする。

「ビタミンA」とは?

「ビタミンA」とは?

ビタミンAは「レチノイド」と呼ばれ、その末端構造によりレチノール、レチナール、レチノイン酸に分類される脂溶性ビタミンで、主に動物性食品に含まれます。一方、主に植物性食品に含まれるβ-カロテン、α-カロテン、β-クリプトキサンチンなどは、「カロテノイド」と呼ばれ、摂取すると体内で必要に応じてビタミンAに変換されることから、”プロビタミンA”とも呼ばれています。

ビタミンAの一日の摂取量

ビタミンAの一日の摂取量

[成人男性の推奨量(プロビタミンAカロテノイドを含む)] 18~29歳:850µgRAE/日 30~64歳:900µgRAE/日 [成人女性の推奨量(プロビタミンAカロテノイドを含む)] 18~29歳:650µgRAE/日 30~64歳:700µgRAE/日 [成人(男女)の耐用上限量(プロビタミンAカロテノイドを含まない)] 18歳~:2,700µgRAE/日

【妊娠中の女性】ビタミンAの一日の摂取量

【妊娠中の女性】ビタミンAの一日の摂取量

妊娠後期に[成人女性の推奨量]+80µgRAE/日とする。 ※妊娠前期・中期は[成人女性の推奨量]と同じ ※耐用上限量は非妊娠期と同じ

ビタミンAの効果

ビタミンAの効果

成長の促進

ビタミンAは成長に必要な成分として最初に発見された脂溶性ビタミンで、1913年にマッカラムがバターなどに含まれる脂溶性Aを報告しました。ビタミンA(レチノイン酸)が遺伝子の発現を調節し、たんぱく質の合成を調節することで全身の成長を促します。

皮膚や粘膜の健康維持

ビタミンA(レチノイン酸)は細胞の増殖と入れ替わりを促すことで、皮膚や粘膜などの上皮組織を健康な状態に保ちます。

目の健康維持

ビタミンA(レチノールとレチナール)は、網膜細胞の保護作用を持ち、また、網膜で光や色を感知する物質であるロドプシンの主成分であることから、目の健康維持には不可欠であり、網膜を意味する英語の「Retina(レチナ)」がその語源になっています。

抗酸化作用

β-カロテンなどのプロビタミンAは活性酸素の発生を抑え、取り除く抗酸化作用を持ち、ガンや動脈硬化を予防し、老化を抑制する効果が期待されます。

免疫機能の向上

ビタミンA(レチノイン酸)は、健康な皮膚や粘膜を保つことで病原体の侵入を防ぎ、さらに全身の粘膜に存在し、侵入した病原体を排除する働きを持つIgA抗体の産生を促すことで、免疫機能を高めます。

ビタミンAを過剰摂取すると現れる症状

ビタミンAを過剰摂取すると現れる症状

頭痛、吐き気、嘔吐

サプリメントや薬、動物の肝臓などを大量に摂取した場合に、ビタミンAの過剰摂取による健康障害が報告されています。そのひとつに、脳が圧迫されることによる頭痛、吐き気、嘔吐などがあります。サプリメントや薬の服用を中止し、ただちに主治医や薬剤師へ相談しましょう。なお、プロビタミンA(カロテノイド)からビタミンA(レチノイド)への変換は厳密に調整されているので、β-カロテンなどのプロビタミンAの過剰摂取による健康障害は骨折や胎児奇形を含めて知られていません。

骨折

ビタミンAの過剰摂取は骨密度を低下させるという研究結果が報告されています。放置すると骨粗鬆症により骨折のリスクが高まります。サプリメントや薬の服用を中止し、ただちに整形外科を受診し、主治医や薬剤師へ相談しましょう。

胎児奇形

妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針に、「ビタミンAは過剰摂取により先天奇形が増加することが報告されているため、妊娠を計画する人や妊娠3か月以内の人は大量の摂取を避けましょう。」と書かれています。

ビタミンAの効率的な摂取方法

ビタミンAの効率的な摂取方法

ビタミンAと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

ビタミンAは脂溶性なので、脂質と合わせることで吸収率が上がります。また、ビタミンEは脂質の酸化を防ぐことで脂溶性ビタミンであるビタミンA(特にβ-カロテン)の安定性を高めます。ビタミンAを含む食品は、脂肪分の多い肉や魚などと一緒に油で炒めたり、サラダの場合はビタミンEと脂質が豊富に含まれるオリーブオイルとナッツで和えるのがおすすめです。ただし、エネルギーの過剰にならないよう摂り過ぎには注意しましょう。

ビタミンAと一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品

一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品の情報はありません。ビタミンAはたんぱく質と結合して全身に運ばれるため、たんぱく質不足では摂取したビタミンAを十分に活用できず、その効果を下げてしまいます。また、ビタミンAと一緒に摂ることで他の薬の効果を減弱または増強してしまうことがあります。

ビタミンAの効果を高める摂取タイミング

ビタミンAの効果を高めるには、日常の食事にビタミンAを意識的に取り入れ、バランスの取れた食生活を心がけることが重要です。サプリメントや薬の場合は、食事中や食後すぐに服用することで脂溶性のビタミンは吸収率が高まります。

「ビタミンAの食べ物」についてよくある質問

「ビタミンAの食べ物」についてよくある質問

ここまでビタミンAの食べ物などを紹介しました。ここでは「ビタミンAの食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ビタミンAが多く含まれるフルーツを教えてください。

中島 三容子中島 三容子

赤肉種のメロン、あんずなど橙色のフルーツにはβ-カロテンやβ-クリプトキサンチンといったプロビタミンAが含まれています。ただし、柑橘類(温州みかんなど)のプロビタミンA含有量は比較的少量であるため、緑黄色野菜などと組み合わせて摂取することがおすすめです。

ビタミンAが多く含まれる野菜を教えてください。

中島 三容子中島 三容子

にんじん、かぼちゃ、ほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれています。緑黄色野菜は、β-カロテンを可食部100g中に600µg以上含む野菜の総称です。

編集部まとめ

ビタミンAは人体の様々な機能を正常に保つために欠かせない微量栄養素ですが、体内では合成できないため、食品から摂取する必要があります。ただし、過剰症を起こすこともあり、摂り過ぎには注意が必要です。安全な摂取のために、他のサプリメントや食品からのビタミンA摂取量も考慮し、総摂取量が耐用上限量を超えないよう注意することが重要です。ビタミンAを含むサプリメントを摂取する際は、医師や薬剤師に相談することをお勧めします。

「ビタミンA」と関連する病気

「ビタミンA」と関連する病気は10個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

小児科の病気

眼科の病気

  • 夜盲症
  • 眼球結膜乾燥症
  • 角膜乾燥症

皮膚科の病気

  • 上皮の角質化

内科の病気

  • 感染性上気道炎
  • 肝機能障害

脳神経外科の病気

  • 頭蓋内圧亢進症

整形外科の病気

産婦人科の病気

  • 胎児奇形

「ビタミンA」と関連する症状

「ビタミンA」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

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