目次 -INDEX-

  1. Medical DOC TOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 原発性アルドステロン症を放置するとどうなるのか? 日常生活で気を付けることは?【医師解説】

原発性アルドステロン症を放置するとどうなるのか? 日常生活で気を付けることは?【医師解説】

 公開日:2026/04/26
原発性アルドステロン症放置するとどうなる?

血圧の上昇を引き起こすだけでなく、脳卒中や心筋梗塞などのリスクが高くなる原発性アルドステロン症。高血圧患者の中に一定数存在しますが、見逃されることも多いと言われます。一体、原発性アルドステロン症を放置するとどうなるのでしょうか?また、日常生活で気を付けることはあるのでしょうか?ハートメディカルクリニックGeN横浜綱島の中口先生にメディカルドック編集部が詳しく聞きました。

中口 裕達

監修医師
中口 裕達(ハートメディカルクリニックGeN横浜綱島)

プロフィールをもっと見る
聖マリアンナ医科大学医学部卒業。横浜市立大学附属病院 基本臨床研修プログラム修了。横浜市立大学大学院医学研究科 医科学専攻修了、医学博士号取得。国家公務員共済組合連合会 横浜栄共済病院 代謝内分泌内科、横浜市立大学附属病院 内分泌・糖尿病内科 助教、国家公務員共済組合連合会 横浜南共済病院 内分泌代謝内科 医長などを経て現職。医学博士、日本内科学会認定医、日本糖尿病学会専門医・研修指導医、日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医・指導医。

編集部編集部

内服薬による治療はあるのですか?

中口 裕達先生中口先生

先ほどお話したように、原発性アルドステロン症の治療には、手術と薬物療法の2つの選択肢があります。 片側性で手術適応がある場合は副腎摘除術が推奨されますが、患者さんが手術を希望しない場合や両側性のアルドステロン症では、薬による治療が標準的です。治療の中心となるのは、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)です。 この薬は、アルドステロンの過剰な作用を抑え、血圧を適切にコントロールするとともに、血管や心臓への悪影響を軽減する効果があります。適切に使用すれば、血圧が安定し、心血管疾患リスクの低減も期待できます。

編集部編集部

薬物療法をおこなう際の注意点を教えてください。

中口 裕達先生中口先生

お薬の使用にあたっては、カリウム値の管理が重要です。まれに血中のカリウムが上昇することがあるため、定期的な血液検査をおこないながら安全に治療を進めます。 また、一部のMRAはホルモンに作用することがあり、男性では乳房の張り、女性では月経周期の変化がみられることがありますが、副作用が気になる場合は、負担の少ない別の薬を選択することも可能ですので、担当医にご相談ください。ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬は多くの患者さんにとって安全かつ有効な治療法です。適切な管理のもと継続することで、アルドステロンの影響を最小限に抑え、健康な生活を維持することが可能になります。

編集部編集部

治療しない場合、どのようなリスクがありますか? 合併症は?

中口 裕達先生中口先生

原発性アルドステロン症は治療をしないままでいると、 高血圧や過剰なアルドステロンが血管や心臓に悪影響を与え、長期的には心血管系の合併症のリスクが高まります。また、脳卒中や心不全、腎不全などを引き起こす可能性もあります。とくに、高血圧のコントロールが不十分であると、心筋梗塞脳卒中などのリスクが増加し、患者さんの予後が悪化することが知られています。進行すると心臓にも負担がかかり、左心室肥大心不全の発症率も上昇します。

編集部編集部

未治療の場合、さまざまな合併症のリスクがあるのですね。

中口 裕達先生中口先生

はい。そのほか、治療しない場合にはカリウム値が低い状態が続くことも危険です。低カリウム血症は、心臓のリズムに異常を引き起こす可能性があり、致命的な不整脈を引き起こすことがあります。さらに、腎臓の機能も悪化する可能性があり、長期的には腎不全を招くこともあります。アルドステロン症を治療すれば、これらのリスクを減少させることができます。 治療法には薬物療法や手術があり、いずれも血圧を改善し、心血管や腎臓へのダメージを防ぐ効果があります。治療開始後は、定期的な再診と検査で、血圧や合併症の評価をおこないながら、その後の全身状態を適切に管理することが重要です。

編集部編集部

普段の生活習慣で気をつけることはありますか?

中口 裕達先生中口先生

原発性アルドステロン症の治療においては、生活習慣の改善も重要です。 食事、運動、ストレス管理を見直すことで、血圧のコントロールや心血管疾患リスクを軽減できます。塩分摂取を減らし、野菜や果物を多く食べるように意識しましょう。また、定期的な運動は体重管理と降圧にも役立ちます。ウォーキングや軽いジョギングなどの運動は、心血管の健康維持に効果的です。

編集部編集部

食事と運動が大切ですね。

中口 裕達先生中口先生

そのほか、ストレス管理も重要です。リラックスする時間を持ち、十分な睡眠や深呼吸などで心身のバランスを整えましょう。また、喫煙や過度の飲酒を避けることも血圧の改善に役立ちます。生活習慣を改善することで、薬物治療や手術治療の効果をさらに高め、原発性アルドステロン症のコントロールをより効果的に行えます。

編集部編集部

最後に読者へのメッセージがあれば。

中口 裕達先生中口先生

原発性アルドステロン症とは聞き慣れない病名かもしれませんが、決して珍しい病気ではありません。病態をコントロールすることができれば、通常の高血圧と同様、合併症をできるだけ予防することもできます。若くして高血圧症を発症された方や、血圧コントロールに難渋される場合には、早めに内分泌の専門医を受診することをお勧めします。

※この記事はメディカルドックにて<【近年増加】通常の「高血圧」より心不全・脳卒中リスクの高い特殊な高血圧をご存じですか?>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

この記事の監修医師