「糖尿病性腎症」は治る? 治療法と腎不全など重症化予防のための食事療法を医師が解説

糖尿病性腎症の治療は、血糖値や血圧、脂質の管理をしながら進行を防ぐことが重要です。食事療法や薬物療法を中心に、それぞれの病期に合わせた対応が求められます。本記事では、治療のポイントや注意点、適切な医療機関の選び方について「徳井内科クリニック」の徳井先生に解説していただきました。
編集部
糖尿病性腎症はどのように治療するのですか?
徳井先生
糖尿病性腎症に対する治療の基本は、血糖値をはじめ、血圧や脂質などの危険因子をコントロールすることです。基本的には食事療法をおこないますが、それに加えて薬物療法も重要です。
編集部
食事療法では、どのような点に気をつければいいのですか?
徳井先生
どの病期も共通して、塩分制限が重要となります。それに加えて、第2期や第3期では厳格に血糖コントロールをおこなうため、低カロリー食が基本になります。そして、第4期では厳格な低タンパク食を基本にしながら、病態に合わせてカリウムを制限します。しかし、この病期に至ると低栄養は腎臓に大きな負担となるため、適切にエネルギーを確保する必要があります。第5期からは人工透析が必要になり、食事内容は透析患者の食事療法に準ずる必要があります。
編集部
食事療法以外に、糖尿病性腎症の治療法はありますか?
徳井先生
薬物療法では、糖尿病の治療薬を積極的に使用するほか、降圧薬を用いたり、むくみに対して利尿剤を用いたりすることもあります。特に血圧管理は非常に重要で、降圧剤は多剤併用することが多いですね。また現在、糖尿病性腎症の進行を抑制するには、糖尿病の治療薬であるGLP‐1受容体作動薬やSGLT2阻害薬が有効であることがわかっています。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
徳井先生
糖尿病性腎症の治療では血糖コントロールだけでなく、血圧や脂質など、集約的な管理が必要になってきます。そのため、薬剤の管理は難しく、糖尿病専門医がいる医療機関に通うことをおすすめします。特に血清クレアチニンが高値となり、eGFRが30未満になった場合には腎不全と診断されますが、この段階になると糖尿病内科だけでなく、腎内科との併診も必要になってきます。地域の基幹病院などの腎内科と連携している医療機関で治療をおこないましょう。

監修医師:
徳井 幹也(徳井内科クリニック)
※この記事はメディカルドックにて【「糖尿病性腎症」の診断基準はご存じですか? 症状・原因・予防法も医師が解説!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。




