「胃がん・大腸がん予防」40代から始めるべき内視鏡検査とポリープ切除の重要性【医師解説】

内視鏡検査は、消化管の異常を発見するために重要な検査ですが、「痛い」「つらい」「苦しい」というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。そのため、検査を避けてしまい、結果として病気の発見が遅れるケースも少なくありません。しかし、近年の医療技術の進歩により、内視鏡検査は以前よりもずっと楽に受けられるようになっています。そこで今回は、内視鏡検査とは何かを「日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック」の石岡先生に解説していただきました。

監修医師:
石岡 充彬(日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック)
編集部
まず、内視鏡検査について教えてください。
石岡先生
内視鏡検査には、胃の状態を調べるために口または鼻から挿入する「胃カメラ(上部消化管内視鏡)」と、大腸の状態を確認するために肛門から挿入する「大腸カメラ(下部消化管内視鏡)」の2種類があります。いずれも消化管の内部を直接観察し、がんや炎症などの異常を発見するためにおこなわれます。
編集部
それぞれ、どのような病気がわかるのでしょうか?
石岡先生
胃カメラでは、胃炎や胃潰瘍、ピロリ菌感染、逆流性食道炎、さらには胃がんや食道がんなどを発見することができます。一方、大腸カメラでは、大腸ポリープや大腸がん、潰瘍性大腸炎、クローン病などの異常を見つけることが可能です。これらの疾患は、早期に発見し適切な治療を受けることで、より良い予後が期待できます。例えば、ピロリ菌の感染は胃がんのリスクを高めるため、検査で感染が確認された場合は、除菌治療をおこなうことが推奨されます。大腸ポリープはその多くが良性ですが、一部は放置するとがん化する可能性があるため、内視鏡検査中に切除することで将来的な大腸がんの予防が可能です。
編集部
内視鏡検査で異常が見つかったら、どうなりますか?
石岡先生
見つかった異常の種類によって、その後の対応が異なります。例えば、大腸ポリープが発見された場合、その場で切除できることが多く、治療を完了できます。しかし、がんが疑われるような病変が見つかった場合は、組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく調べることによって確定診断をつけ、その診断に基づいて適切な治療方針を決定していきます。また、胃や大腸に炎症や潰瘍がみられた場合は、薬物療法をおこない、症状の改善と炎症の抑制を図ります。いずれも、内視鏡検査によって早期に異常を発見し、適切に対応することが、病気の進行を防ぐためには重要です。
編集部
がんがわかるのは安心ですね。
石岡先生
そうですね。がんは早期に発見することで、治療成績が大きく向上します。特に胃がんや大腸がんは、初期段階ではほとんど症状が表れないため、定期的な内視鏡検査を受けることが非常に重要です。早期の胃がんや大腸がんであれば、内視鏡的に病変を切除するだけで完治することが多く、大掛かりな手術や抗がん剤治療を避けることができます。40歳を過ぎたら、定期的に内視鏡検査を受けることをおすすめします。
※この記事はメディカルドックにて<痛い・つらい・苦しい…「内視鏡検査」を楽に受けるコツはご存じですか? 医師が解説!>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。




