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長引く咳・痰は要注意!肺MAC症の治療法、副作用、早期受診の重要性【医師解説】

 公開日:2025/12/28
肺非結核性抗酸菌症の治療と予防について

結核菌以外の抗酸菌が肺に感染して起こる病気のことを、肺非結核性抗酸菌症といいます。治療は年単位となるケースも多く、根気良く治療に取り組むことが必要です。「咳が長引いている」「汚い痰が続く」といった場合はもしかしたら肺非結核性抗酸菌症かもしれません。今回は「肺非結核性抗酸菌症」の治療や予防対策について、ふかさわ呼吸器・消化器内科クリニックの蛸井先生に詳しく教えてもらいました。

蛸井 浩行

監修医師
蛸井 浩行(ふかさわ呼吸器・消化器内科クリニック)

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2006年日本医科大学を卒業。同大学付属病院および千葉北総病院で呼吸器内科全般の研鑽を積み、茨城東病院で結核や非結核性抗酸菌症等の感染症診療にも従事。日本医科大学大学院で感染症研究により博士号を取得する。東京医科大学病院で講師を務め、湘南鎌倉総合病院を経て2024年ふかさわ呼吸器・消化器内科クリニック院長に。「呼吸器と内科の診療で、鎌倉の地域に貢献する」がモットー。

編集部編集部

どのような治療が行われるのですか?

蛸井 浩行先生蛸井先生

一般的に、3種類の飲み薬を用いた抗菌薬治療が行われます。なお、お薬により尿がオレンジ色になりますが、無害です。一方、注意すべき副作用として食欲不振、視力低下、肝機能や腎機能障害などがあり、定期的な受診と採血チェックが必要になります。2年間くらいの長期服薬が必要になりますが、治療初期に副作用が強くなければ、あとは軌道に乗って問題なく治療を終了できることも多いです。特に病気が進んでいない人は週3回の服薬で十分なため、副作用が軽くて済むこともあります。

編集部編集部

再発することもあるのですか?

蛸井 浩行先生蛸井先生

残念ながら、再発するケースも少なくありません。一度かかった方は、再発しやすい病気と言われています。そのため治療が終了したあとも、定期的なレントゲン検査が望ましいです。

編集部編集部

どのように予防すれば良いのでしょうか?

蛸井 浩行先生蛸井先生

浴室の換気・乾燥を保つ、シャワーヘッドを外し清掃する、園芸はしないといったことなどでしょうか。ただ、これらを行うことでどれくらいの予防効果があるのかは、まだよく分かっていません。

編集部編集部

ほかに日常生活で気をつけることはありますか?

蛸井 浩行先生蛸井先生

この病気に限ったことではありませんが、呼吸器疾患全般の予防という観点からいえば、タバコを吸わない、きちんと健診でレントゲン検査を受ける、一定以上の年齢になったら肺炎予防ワクチンを打つ、筋力が低下しないようにたんぱく質摂取と適度な運動を心がける、といったことを実践していただきたいと思います。体を良く動かすなど、筋力低下予防を心がけてください。

編集部編集部

最後に読者へのメッセージがあれば。

蛸井 浩行先生蛸井先生

短期間に強い症状が出た場合は早めに病院を受診するものの、日常的に慢性的な症状が続く場合はなんとなく見過ごしがちで、なかなか受診しないという方が多いのではないでしょうか。しかし、慢性的な症状ほど注意してほしいもの。知らず知らずのうちに隠れた病気が進行している場合がありますし、初期であれば軽い治療で済んだのに、重症化してから受診したため治りにくくなったり、治療が長引いたりといったことは少なくありません。「おかしいな」という症状が続いたら、早めに医療機関を受診してほしいと思います。また友人や家族に「咳が多いね」「いつも痰が絡んでるね」などと指摘された場合も要注意です。周囲の気づきも大切にして、ぜひ受診の契機にしてほしいと思います。

※この記事はメディカルドックにて<【咳・痰が気になる人必見】急増する「肺非結核性抗酸菌症」の症状と対処法>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

この記事の監修医師