「糖尿病」は進行すると腎臓が悪くなることをご存じですか? 三大合併症を医師が解説!
公開日:2025/03/05

糖尿病の3大合併症の中に「糖尿病性腎症」があります。なぜ糖尿病で腎臓に障害が出てしまうのか、「まごめ内科・腎クリニック」の井上先生に解説していただきました。

監修医師:
井上 禎子(まごめ内科・腎クリニック)
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東京女子医科大学医学部卒業。東京女子医科大学病院腎臓病総合医療センター入局、茅ヶ崎徳洲会病院、東京労災病院などで経験を積む。2016年、東京都大田区に「まごめ内科・腎クリニック」を開院。日本内科学会認定医・専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医・指導医、日本糖尿病学会会員。日本医師会認定産業医。
編集部
まず、糖尿病について教えてください。
井上先生
血糖値を下げる働きのある「インスリン」というホルモンの働きが不十分となることで、血糖値の上昇した状態が続くのが糖尿病です。令和元年に厚生労働省が実施した「国民健康・栄養調査(※)」によると、国内の糖尿病患者数(糖尿病が強く疑われる人を含む)は約1196万人と推定されています。これは成人の10人に1人以上に相当します。初期は無症状のため放置されがちですが、気がついた時には身体に深刻な合併症が広がっているというのが糖尿病の特徴であり、恐ろしい点です。
※厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査報告」
https://www.mhlw.go.jp/content/001066903.pdf
編集部
どのような合併症があるのですか?
井上先生
「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病性腎症」が、糖尿病の3大合併症と言われています。また、血流や感覚が悪くなって足の潰瘍になる人や、動脈硬化などで心疾患や脳血管疾患を引き起こす人も多いですね。
編集部
そのなかで、糖尿病で腎臓が悪くなるのはなぜでしょうか?
井上先生
高血糖が長期間続くと、腎臓の微小血管などがダメージを受け、腎機能に影響を及ぼします。透析が必要となる慢性腎不全の原因も、以前は「慢性糸球体腎炎」という疾患が1位でしたが、1998年から糖尿病性腎症が1位となり、現在まで続いています。
※この記事はMedical DOCにて<「糖尿病性腎症」の食事療法を医師が解説! 運動・生活のコツや注意点もご紹介>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。