便秘を放置すると危険! 大腸がんの可能性や免疫低下のリスクを医師に聞く

便秘は薬を使えば改善しますが、使い方を誤ると逆効果になることもあります。特に刺激性便秘薬は使いすぎに注意が必要です。便秘が改善しないときの対処法や便秘に隠れる病気のリスクについて、「天白宮田クリニック」の宮田先生に解説していただきました。

監修医師:
宮田 雅弘(天白宮田クリニック)
編集部
便秘がひどい場合は、ずっと飲み続けてもいいのでしょうか?
宮田先生
刺激性便秘薬の場合は用法を守らなかったり、規定以上の用量を服用したりすると、かえって便秘が悪化するリスクもあります。一方、非刺激性便秘薬の場合は慢性的に使用しても安全とされていますが、稀に高齢者や心臓・腎臓に持病がある人は高マグネシウム血症を発症することがあるので、詳しくは医師にご相談ください。
編集部
便秘が改善しない場合にはどうしたらいいですか?
宮田先生
薬に頼るだけでなく、こまめに水分を取ったり、食物繊維や発酵食品を積極的に摂取したり、適度な運動をしたりして生活習慣を改善しましょう。
編集部
生活習慣を見直すことも必要なのですね。
宮田先生
はい。1日3食しっかり食べることも大切です。そのほか、オオバコ科の植物の「プランタゴ・オバタ」や、難消化性デキストリンやイヌリンなど水溶性食物繊維を積極的に摂ることも、便秘の解消に役立ちます。
編集部
食事を見直したり、サプリメントを使用したりすることもいいのですね。
宮田先生
それから、朝一番にトイレに座るなどの習慣をつけることも、便秘の改善に役立つかもしれません。それでも便秘が改善しない場合は、早めに医師に相談しましょう。
編集部
便秘を放置すると、どのようなリスクがあるのですか?
宮田先生
腸には免疫を司る機能があります。しかし、便秘で腸内環境が悪化すると免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなる恐れがあります。また、便秘で固くなった便を無理に排出しようとするとき、いぼ痔や切れ痔になることもあります。
編集部
様々なリスクもあるのですね。
宮田先生
さらに、自分では単なる便秘と思っていても、じつは大腸がんだったということもあります。特に、便秘治療をおこなってもなかなか改善しない人や、50歳以上になって初めて便秘になった人などは、大腸がんなどの警告症状かもしれませんから、早めに診察を受けることをおすすめします。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
宮田先生
便秘に悩む人は日本全国に多数いらっしゃいます。必ずしも病院での治療が必要なわけではありませんが、実際、間違った薬を使用している人も大勢見受けられます。もし、薬の使い方に不安を感じたり、自分では改善できなかったりする場合には、早めに消化器内科など専門医の診察を受けましょう。
※この記事はメディカルドックにて【便秘薬の選び方を医師が解説 下剤の種類・成分や即効性・市販薬で改善しないときにおすすめの対処法は?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。