認知症ケアの新常識!「介護者も一緒に飲む」漢方薬がもたらした驚きの変化を医師に聞く

認知症治療の一環として漢方薬が使われているのはご存知でしょうか。認知症の薬が体にあわずに悩んでいるという方もいらっしゃいますが、認知症のケアは患者本人だけでなく、その周囲にも深く影響を及ぼします。今回はあまり知られていない認知症の漢方を使った治療について、あゆみ野クリニック岩崎先生にお話しを伺いました。認知症に向き合う新しい選択肢としてぜひ参考にしていただけると幸いです。
編集部
漢方薬が認知症の方に効果を示した具体的な事例はありますか?
岩崎先生
訪問診療をしている時、暴言などのBPSDが強く出ている100歳代の患者さんがいて、お嫁さんが困り果てていました。1日2包の抑肝散を処方して様子をみたところ、1ヶ月もしないうちに変化が起こり「穏やかでニコニコして助かっています」とコメントされるようになりました。
編集部
お嫁さんも救われた思いがしていそうですね。
岩崎先生
認知症は当事者だけの問題ではなく、当人と関わるご家族や医療・介護スタッフにとっての心理的負担という観点からの配慮も必要です。実はこの事例には話の続きがありまして、あまりの変化に感動したお嫁さんが「最近は私も飲んでいます」と、抑肝散を自ら内服されるようになったのです。
編集部
お嫁さんも抑肝散を飲んで大丈夫なのでしょうか?
岩崎先生
認知症のBPSD改善に抑肝散を使う時、介護者にも飲んで貰うというのは時々やる治療です。元々抑肝散が作られたのは子どもの情緒不穏に対してだったと話しましたが、そこには「母子同服」とあります。子どもと母親の両方を治療しないと上手く行かないというわけです。認知症でも「介護者同服」はしばしば効果があります。

監修医師:
岩崎 鋼(あゆみ野クリニック)
※この記事はメディカルドックにて【認知症治療、漢方薬の力でケアに新たな視点を どのような症状を改善できるのか】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。