血尿に隠れる「膀胱がん」の可能性… 考えられる疾患や診断方法を医師に聞く

血尿の原因として考えられる主な疾患は「感染症」「結石」「悪性腫瘍」の3つに分類されます。最初に疑われるのはぼうこう炎や腎盂腎炎などの感染症ですが、尿管結石のように激しい痛みを伴うケースもあります。さらに、痛みがなくても血尿が続く場合は、ぼうこうがんや前立腺がんの可能性があるため注意が必要です。それぞれの疾患の特徴や検査方法について、速水先生にお聞きしました。

監修医師:
速水 悠太郎(ぐみょうじ泌尿器科 院長)
関西医科大学医学部卒業。関西医科大学附属枚方病院(現・関西医科大学附属病院)、大阪府済生会野江病院などの勤務を経た2020年、神奈川県横浜市に「ぐみょうじ泌尿器科」開院。幅広い知識と経験から、最適な医療をおこなうよう心掛けている。日本泌尿器科学会認定専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医。日本排尿機能学会、日本泌尿器腫瘍学会、日本泌尿器内視鏡学会、日本腎泌尿器疾患予防医学研究会の各会員。
編集部
血尿が出たとき、考えられる病気は?
速水先生
大きく3つあります。①感染症か、②結石か、③悪性腫瘍ですね。まずは感染症を疑い、検尿の中の菌や白血球の量などで鑑別します。続く結石は、エコー検査で判明できます。これらに該当しないとなると、いよいよがんが疑われますので、精密検査をしていきます。
編集部
各疾患を順に説明してください。まずは感染症からお願いします。
速水先生
具体的な病名としては、ぼうこう炎、腎盂腎炎(じんうじんえん)、前立腺炎などです。菌による炎症で組織が傷つき、出血しているものと考えられます。なお、菌の繁殖を放置していると、全身に菌が回る菌血症や敗血症を引き起こしかねません。
編集部
続いて結石です。
速水先生
どの場所で結石ができたかによって、腎臓結石、ぼうこう結石、尿管結石にわかれます。出血はいずれの結石でも起こりえますが、激しい痛みを伴うのは尿管結石です。結石は“育つ”こともありますから、やはり、早めの受診が望まれます。
編集部
最後は、悪性腫瘍ですね?
速水先生
ぼうこうがんや前立腺がんの初期では、痛みや発熱を伴わないことが多いのです。「どこもおかしくないのに血尿が出る」のは、ぼうこうがんの典型症状といえるでしょう。普通に“暮らせてしまう”ため、受診しない限り、悪化していきます。
※この記事はメディカルドックにて【血尿が出たらすぐに病院へ行くべき? 泌尿器科医が回答】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。