医師が教えるアルコールとの上手な付き合い方「手の震えが出たら病気を疑って」
お酒を嗜む中で手の震えが気になったら、それが病的な兆候かどうかを早めに確認することが大切です。アルコールは上手に付き合えば生活の潤滑油となりますが、過度に依存せず、コントロールすることが大切です。この記事では、医師が教えるアルコールとの上手な付き合い方と手の震えへの対処法を「ライトメンタルクリニック」の清水先生に解説していただきました。
監修医師:
清水 聖童(ライトメンタルクリニック)
編集部
アルコール依存症などで起こる手の震えに効果的な薬があると聞きました。
清水先生
手の震えが病的なものでなければ、投薬治療は推奨しません。ただし、手が震えて生活に困るほど重症な方は、α、β遮断薬である「アロチノール」が保険適用となります。それでも効果が不十分な方には、β遮断薬である「インデラル」、抗てんかん薬である「プリミドン」などが使われます。
編集部
病的な震えの治療方法はどうでしょうか?
清水先生
パーキンソン病による震えの場合、治療の基本は、抗パーキンソン病薬になります。お酒で先送りすることに意味はありません。難治例に関しては、手術療法である脳深部刺激療法(DBS)も適応になります。バセドウ病でも、薬物療法と手術療法により治療できます。薬剤や生活習慣、他の内科的疾患が影響している場合は、内科疾患のコントロール、薬剤の減量、生活指導などがおこなわれます。
編集部
脳の病気ということは考えられませんか?
清水先生
小脳の病気や、大脳皮質の運動野の脳梗塞、動脈瘤による神経の圧迫などがあると、なんらかの運動障害となって表れるでしょう。最悪の場合、命を失うリスクも考えられます。なおのこと、早期受診が望まれますよね。
編集部
お酒とは上手に付き合っていきたいですね。
清水先生
私はお酒を抑制するようにお話する“立場”です。しかし私もお酒は好きですし、うまく付き合いさえすれば、それほど悪いものではないと思っています。ここで重要なことは、アルコールにコントロールされず、コントロールするものだという視点です。アルコールを道具として使いこなすことができれば、対人関係の潤滑油として役立ちますし、うつ病や動脈硬化の予防すら不可能ではありません。
※この記事はMedical DOCにて【お酒を飲まないと手が震えるってアルコール依存症なの?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。