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肥満=高血圧ではないが、高血圧発症リスクは2~3倍も高くなるワケ【医師解説】

 公開日:2025/01/11

ダイエットで血圧が下がる」という話を耳にしたことはありませんか? 実際、1kgの減量で血圧が1mmHg低下することが分かっており、運動もまた有効な高血圧対策として推奨されています。一方で、習慣的な飲酒が血圧を上昇させ、脳卒中や睡眠時無呼吸症候群などのリスクを高めることも知られています。本記事では、高村武之先生に減量、運動、飲酒の影響を中心に、高血圧改善のための具体的な生活習慣の見直し方法について聞きました。

高村 武之

監修医師
高村 武之(あけぼの病院)

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山梨大学医学部卒業。その後、山梨大学医学部附属病院第三内科、山梨県立中央病院腎臓内科に勤務。2020年より東京都町田市の「あけぼの病院腎臓内科」に勤務、2021年より腎臓内科副部長に就任。薬物療法のみならず、生活習慣改善や医療リテラシー向上にも積極的に取り組んでいる。医学博士。日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、日本高血圧学会専門医、日本腎臓学会専門医・指導医、日本透析医学会専門医。山梨大学医学部非常勤講師。

編集部編集部

「ダイエットで血圧が下がる」と聞いたことがあります。本当でしょうか?

高村 武之先生高村先生

これまでの報告によると、1kgの減量で収縮期血圧(上の血圧)・拡張期血圧(下の血圧)がそれぞれ約1mmHg低下することがわかっています。日本人肥満者を対象にした研究でも、「3%以上減量に成功すると血圧が下がる」ことが確認されました。生活習慣を改善することは高血圧の予防という観点からも非常に大切です。我が国では「BMI≧25」を肥満と定義しており、30~60代男性の30%以上、50代以降の女性の20%以上が肥満者です。肥満の人が必ずしも高血圧を発症するわけではありませんが、肥満でない人と比べると2~3倍も高血圧発症リスクが高くなるため要注意です。

編集部編集部

運動でも血圧は下がりますか?

高村 武之先生高村先生

はい。有酸素運動の降圧効果については多くの研究で有効性が示されています。「早歩きやステップ運動、スロージョギングなどは運動直後から収縮期血圧が約5mmHg低下し、その後22時間に渡って降圧効果が持続した」と報告されています。アメリカスポーツ医学会からも、1回につき10分以上の運動を合計で1日40分以上おこなうよう勧告されていますし、我が国でも毎日40~60分の身体活動をおこなうことが推奨されています。ただし、収縮期血圧が180mmHgを超える人や脳心血管病のある人が運動する場合は危険を伴いますので、主治医の先生と相談してからおこないましょう。

編集部編集部

飲酒と血圧の関係についてはいかがでしょうか?

高村 武之先生高村先生

習慣的な飲酒は、血圧上昇の原因の1つです。高血圧のみならず、脳卒中や睡眠時無呼吸症候群に加えてがんの原因にもなり、死亡率を高めることも知られています。アルコールを摂取すると一時的に血圧が低下しますが、長期的には上昇していきます。一方で、飲酒量を70%制限すると収縮期血圧が約3mmHg低下することも判明しています。高血圧の管理においては、エタノール換算で1日に男性20~30ml(日本酒1合、ビール500ml程度)、女性はその半分程度を上限とすることが推奨されています。また、お酒のつまみは塩辛いものが多いため、食塩の過剰摂取による血圧上昇も問題となります。

※この記事はMedical DOCにて【「高血圧は生活習慣の見直しで改善できる」薬を使わずに血圧を下げる方法を専門医が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

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