日本人3人に1人は高血圧、30代5人に1人は高血圧、1800万人が未治療な現状
日本人の3人に1人が発症しているとされる高血圧。最新の基準では、血圧120/80mmHg未満のみを「正常」と定義し、より厳しい管理が求められています。しかし、実際には約3100万人もの人が基準を超える血圧のままであり、そのうち1800万人は治療すら受けていない状況です。国民病とも言える高血圧がなぜここまで放置されるのか? 高村武之先生にその背景や問題点、そして対策について詳しく聞きました。
監修医師:
高村 武之(あけぼの病院)
編集部
高血圧の患者さんは、どのくらいいるのでしょうか?
高村先生
高血圧の患者さんは約4300万人いると推定されており、日本人の中で最も患者数の多い病気とされています。単純計算で3人に1人と、非常に頻度が高いことがわかります。若いうちは大丈夫だと思っている人も多いようですが、30代の5人に1人は既に高血圧を発症しているという報告もあり、決して高齢者だけの病気ではないのです。諸外国と比べて、日本の食文化は塩分が多い傾向にあります。高血圧を防ぐには、正しい知識と若い頃からの対策が必要不可欠です。
編集部
血圧は140/90mmHgを超えなければ問題ないですか?
高村先生
※日本高血圧学会「高血圧ガイドライン2019」
https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019/JSH2019_hp.pdf
編集部
高村先生の考える日本における高血圧診療の問題点を教えてください。
高村先生
高血圧は脳卒中や心筋梗塞による死亡の最大の原因であり、国民病とも呼ばれています。先述したとおり約4300万人の患者さんがいますが、降圧目標を達成しているのはわずか1200万人(約27%)です。残りの3100万人は血圧が140/90mmHg以上であり、なかでも1800万人(44%)は治療すら受けていない状況です。リスクがあることは十分に知られており、診断・治療法にも進歩がみられ、薬もすぐに使える環境であるにも関わらず、高血圧への対策は未だ不十分であり「高血圧パラドックス」と呼ばれる大きな問題となっています。
※この記事はMedical DOCにて【「高血圧は生活習慣の見直しで改善できる」薬を使わずに血圧を下げる方法を専門医が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。