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日本人3人に1人は高血圧、30代5人に1人は高血圧、1800万人が未治療な現状

 公開日:2025/01/05

日本人の3人に1人が発症しているとされる高血圧。最新の基準では、血圧120/80mmHg未満のみを「正常」と定義し、より厳しい管理が求められています。しかし、実際には約3100万人もの人が基準を超える血圧のままであり、そのうち1800万人は治療すら受けていない状況です。国民病とも言える高血圧がなぜここまで放置されるのか? 高村武之先生にその背景や問題点、そして対策について詳しく聞きました。

高村 武之

監修医師
高村 武之(あけぼの病院)

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山梨大学医学部卒業。その後、山梨大学医学部附属病院第三内科、山梨県立中央病院腎臓内科に勤務。2020年より東京都町田市の「あけぼの病院腎臓内科」に勤務、2021年より腎臓内科副部長に就任。薬物療法のみならず、生活習慣改善や医療リテラシー向上にも積極的に取り組んでいる。医学博士。日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、日本高血圧学会専門医、日本腎臓学会専門医・指導医、日本透析医学会専門医。山梨大学医学部非常勤講師。

編集部編集部

高血圧の患者さんは、どのくらいいるのでしょうか?

高村 武之先生高村先生

高血圧の患者さんは約4300万人いると推定されており、日本人の中で最も患者数の多い病気とされています。単純計算で3人に1人と、非常に頻度が高いことがわかります。若いうちは大丈夫だと思っている人も多いようですが、30代の5人に1人は既に高血圧を発症しているという報告もあり、決して高齢者だけの病気ではないのです。諸外国と比べて、日本の食文化は塩分が多い傾向にあります。高血圧を防ぐには、正しい知識と若い頃からの対策が必要不可欠です。

編集部編集部

血圧は140/90mmHgを超えなければ問題ないですか?

高村 武之先生高村先生

一般的には、診察室で測定した血圧が140/90mmHgを超えると高血圧と診断されます。ただ、高血圧に関する研究は日夜、世界中でおこなわれており、最新の結果が出るたびに高血圧の管理基準が変更されています。実際に最新版である「高血圧ガイドライン2019(※)」でも、血圧の分類基準が大きく変更されているのです。これまでは140/90mmHg未満を「正常域血圧」と分類していましたが、120~139/80~89mmHgの血圧でも脳心血管病リスクが高まることが分かってきたため、今では120/80mmHg未満のみを「正常血圧」と定義しています。

※日本高血圧学会「高血圧ガイドライン2019」
https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019/JSH2019_hp.pdf

編集部編集部

高村先生の考える日本における高血圧診療の問題点を教えてください。

高村 武之先生高村先生

高血圧は脳卒中や心筋梗塞による死亡の最大の原因であり、国民病とも呼ばれています。先述したとおり約4300万人の患者さんがいますが、降圧目標を達成しているのはわずか1200万人(約27%)です。残りの3100万人は血圧が140/90mmHg以上であり、なかでも1800万人(44%)は治療すら受けていない状況です。リスクがあることは十分に知られており、診断・治療法にも進歩がみられ、薬もすぐに使える環境であるにも関わらず、高血圧への対策は未だ不十分であり「高血圧パラドックス」と呼ばれる大きな問題となっています。

※この記事はMedical DOCにて【「高血圧は生活習慣の見直しで改善できる」薬を使わずに血圧を下げる方法を専門医が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

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