「心筋梗塞」の予防に効果的な運動5選! 年代別に適した運動方法も医師が解説!
心筋梗塞を予防するためには、日々の運動習慣が重要です。今回は、心筋梗塞予防に効果的な5つの運動を紹介するとともに、年代別に適した運動方法についても「KENカルディオクリニック柏」の中村先生に解説していただきました。
監修医師:
中村 賢(KENカルディオクリニック柏)
編集部
心筋梗塞を予防するために、日頃からどのような点に気をつければいいでしょうか?
中村先生
まず、肥満の人は減量をしましょう。肥満は動脈硬化の原因になります。また、運動習慣を身につけて、適度に体を動かすことも心筋梗塞の予防につながります。筋肉が増え、基礎代謝が上がると肥満の予防にもつながり、動脈硬化の予防が期待できます。ただし、強度が高すぎる運動は心臓への負担が強いため、ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動がいいでしょう。
編集部
どれくらいの強度が目安ですか?
中村先生
私が患者さんに指導するときには、「心拍数が110~130におさまるくらいの有酸素運動をするように」とお話ししています。これくらいの強度が好ましい理由は、「好気性代謝」につながるからです。好気性代謝とは、酸素を使ってゆっくりと時間をかけてエネルギーを作る代謝のことを指します。使用するエネルギー量が多いため、脂肪を燃焼させるのに適しています。反対に、心拍数が130以上になると「嫌気性代謝」となり、体内で酸化物質を増やしてしまいます。血管に悪影響なので、心筋梗塞を予防するには110以下の心拍数に抑えることが必要です。
編集部
具体的には、どのような運動が良いでしょうか?
中村先生
- ウォーキング
- ジョギング
- 水泳
- 水中歩行
- サイクリング
編集部
運動をする際の注意事項はありますか?
中村先生
自分の年齢やライフスタイルなども考慮しながらメニューを選択しましょう。30代の人がするべき運動と、60代の人がするべき運動では質も量も違います。30代の人ならジョギングや水泳が向いていますが、高齢者はウォーキングや水中歩行でも十分効果が期待できます。
編集部
年齢などを考慮して、自分に相応しい運動を選ぶことが大切なのですね。
中村先生
そうです。例えば、70歳や80歳の方に「健康にいいから」といって、無理に運動をすすめるのは、いいことではないでしょう。自分が好ましいと思うライフスタイルを自由に選んでいただき、それを維持できるような健康状態を周囲がアシストしてあげるという考えが必要です。しかし、30代や40代の人なら、これからの人生を考えて、もっと積極的に運動すべきだと考えます。このように、年齢やライフスタイルに応じた運動を取り入れましょう。
編集部
ほかにも、日常生活で気をつけることはありますか?
中村先生
動脈硬化の予防で重要なのは、「いち早く兆候を見つけること」です。そのため、少なくとも年1回は健康診断を受け、血圧・血液検査・心電図で異常がないか確認しましょう。とくに動脈硬化は加齢とともに発症率が上がりますし、女性の場合は女性ホルモンの変化によって閉経後の発症率が上昇します。そうした年代になったら定期的に健康診断を受けて、異常を見逃さないようにしましょう。
編集部
あたらめて、どのようにして心筋梗塞と向き合えばいいですか?
中村先生
現在、日本では死因の第2位が心疾患です。日本政府は、胃や大腸などの内視鏡検査を推奨したり、乳がん検診を促したりすることには熱心ですが、心臓をしっかり検査するということについては、なぜかアナウンスが弱いという現状があります。一般的に、健康診断では心電図検査をおこなう程度で、心臓の働きを精査する機会があまり用意されていません。35歳になったら1年に1回は心臓の検査を受けてほしいです。定期的な検診が、心筋梗塞などによる突然死の予防にもつながります。ぜひ、検討してみてください。
※この記事はMedical DOCにて【「心筋梗塞」の初期症状と予防・対策を医師が解説! 生活習慣の見直しで心筋梗塞を防止しよう】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。