痩せてる女性は要注意! ガリガリなのに「糖尿病」になる2つの理由とは?【医師が解説】
「痩せていれば健康的」と思っていませんか? じつは、痩せていることが糖尿病の引き金になることがあるのです。 特に日本人は、インスリン分泌が低い体質のため、肥満に限定ずた人でも糖尿病を発症することがわかって困っています。今回は、痩せ型の若い女性に多い耐糖能異常やそのメカニズム、さらには命に関わるリスクについて、「新緑糖尿病内科クリニック」の佐藤先生に解説していただきました。
監修医師:
佐藤 雄紀(新緑糖尿病内科クリニック)
編集部
「糖尿病は太っている人に発症しやすい」というイメージがあります。
佐藤先生
たしかに、そういうイメージをもっている人は多いかもしれませんね。しかし実際、痩せ型の人でも糖尿病を発症します。特に、痩せていて筋肉の少ない女性は「前糖尿病」になりやすいことがわかっています。
編集部
なぜ、痩せている人でも糖尿病になってしまうのですか?
佐藤先生
痩せた人が糖尿病になるメカニズムには2点あり、1つはインスリン分泌が低いことです。日本人にはインスリン分泌低下型の糖尿病が多いことが示されています。
編集部
もう1つの理由は?
佐藤先生
痩せており筋肉量の少ない人は、インスリンが効きづらいインスリン抵抗性が増し、糖尿病発症に関わっています。「体格指数(BMI)が18.5未満の日本人の痩せた若年女性は、耐糖能異常が多い」ということが研究で明らかになっています。耐糖能異常とは、食後の高血糖が目立つ状態のことを指します。食前の血糖値が低く、糖尿病と診断されるほどの高血糖ではありませんが、血糖値が正常よりも高い状態です。
編集部
なぜ、耐糖能異常が起きるのですか?
佐藤先生
痩せた若い女性の場合、血糖値を下げる働きのあるインスリンが効きにくい状態になっていることが原因として考えられます。これはもともと、肥満の人に起こると考えられていました。しかし、肥満の人だけでなく痩せている若い女性にも同じことが起こると判明しました。
編集部
肥満の人と同じことが、痩せている人にも起きているというのは不思議です。
佐藤先生
現代の若い女性の中には、「食事量も運動量も少なくて痩せている」という人が少なくありません。そうした特徴を持つ人は、自ずと骨格筋量も減っています。体内で血糖値が下がるのは、肝臓と筋肉が糖を取り込んでいるためで、筋肉の量が少なければ糖質の取り込み先がなくなってしまいます。そのため、血糖値が上がりやすくなり、糖尿病を発症しやすくなるのです。
編集部
「痩せている=健康的」というイメージがありますが、そういうわけではないのですね。
佐藤先生
はい。「痩せた人の方が一般の人より耐糖能異常が7倍多い」ということがわかっています。また、痩せている人の方が死亡率も高く、特に高齢者の場合はその傾向が顕著です。つまり、痩せているというのは健康的ではなく、むしろ命のリスクになる場合もあるのです。
※この記事はMedical DOCにて【痩せ型でも「糖尿病」になるのはご存知ですか? 予防法・治療法も医師が解説!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。