精神科医に聞く“社交不安症”の治し方「緊張するのは性格だから仕方ないと諦めないで」
社交不安症に悩む人々は、日常生活の中で多くの困難に直面しています。しかし、社交不安症は克服できるものです。今回は、社交不安症を治すための実践的なアドバイスと生活の中でできる対処法を「ペディ汐留こころとからだのクリニック」の近野先生に解説していただきました。
監修医師:
近野 祐介(ペディ汐留こころとからだのクリニック)
編集部
社交不安症を抱える人が、生活の中で取り入れやすい対処法やアドバイスがあれば教えてください。
近野先生
まずは、ご自身の症状を認識・理解しましょう。不安や恐怖を抑えようとするのではなく、どのような状況やトリガーが不安や恐怖を引き起こすのかを認識することが第一歩です。そして、そうした状況やトリガーに上手に対応することで負担を減らすことができるでしょう。
編集部
なるほど。ほかには何かありますか?
近野先生
人間関係や仕事を続けるためには、身近な友人や家族に社交不安症について話して、理解してもらってみてはいかがでしょうか。身近な人に伝えることができたら、次は職場の上司や人事部門などに相談し、適切な調整やサポートを受けるように伝えてみましょう。ただし、こうした試みが逆にストレスとなる場合もあるので、無理のない程度で大丈夫ですよ。
編集部
そうですね。1人でも取り入れられる生活のコツなどはありますか?
近野先生
基本的なことですが、良質な睡眠、栄養バランスの取れた食事、適度な運動習慣などを普段から意識してみてください。また、自分にとって効果のあるリラックス法を知っておくといいと思います。「自分は深呼吸をすると少し落ち着く」「数分だけでもトイレで1人になると症状が和らぐ」などの対策を持っておくと少し安心できるでしょう。いずれにせよ、「社交不安症を今すぐなんとかしよう」と思わず、「ゆっくりでいい」と今の自分を受け入れてほしいですね。
編集部
あたらめて、どのようにして緊張と向き合えばいいですか?
近野先生
極度の緊張に悩みながら「性格だから仕方がない」と、何年もずっと辛い思いをして頑張っている人がとても多いと感じています。我慢していてようやく受診して、診察の最後に「こんなことで来てよかったの?」という質問をする患者さんもたくさんいらっしゃいます。今回紹介した症状に当てはまると思った人は、気軽に相談してください。我々は、そうした悩みを抱えた人の力になりたいと思っています。
※この記事はMedical DOCにて【社交不安症(社交不安障害・SAD・あがり症)を抱える人が人間関係や仕事を続けるためのコツ<医師解説>】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。