白内障の手術後に発症する「後発白内障」をご存知ですか? 白内障が”再発”しているのか医師に聞く
白内障の手術を受けた後に発症する「後発白内障」。後発白内障は手術を受けたのに、白内障が再発してしまう病気なのでしょうか。「アイケアクリニック本院・アイケアクリニック東京」の佐藤先生に伺いました。
監修医師:
佐藤 香(アイケアクリニック東京)
編集部
昨今、白内障の日帰り手術を散見するようになってきました。
佐藤先生
そうですね。長期でみた白内障の罹患率は100%とされています。「見えの不具合」を気にされるかどうかは別として、「誰にでも起きる目の病気」ということです。よって、使用する“人工レンズ”の種類にもよりますが、手術費用には保険が適用されています。
編集部
人工レンズに置き換えたら、「見えの不具合」は解消されると考えていいのでしょうか?
佐藤先生
基本的にはそうです。ただし、術後の5年で「後発白内障」を発症する患者さんが約2割いらっしゃいます。後発白内障は、水晶体を包んでいた“袋のような部位”に起きる濁りです。袋の前面は手術によって取り除かれていますが、後部は人工レンズの安定のためにも残しているのです。この袋の後部の濁った細胞が増殖すると、後発白内障が発症します。
編集部
後発白内障は白内障の“再発”と言っていいでしょうか?
佐藤先生
症状が一般の白内障と一緒なので、再発と言うこともあります。ただし、病気としては別ですので、再発に含めない印象ですね。また、本来の白内障手術のように「削って吸い取る」必要はなく、レーザーを当てる手術で解決できます。濁っている袋をレーザーで破いていくイメージでしょうか。最初の白内障手術から半年もたっていれば、人工レンズは癒着して安定してきます。ですから、袋の後部の一部をレーザーで破っても大丈夫なのです。
編集部
後発白内障を放置しているとどうなるのでしょう?
佐藤先生
一般的な白内障と同様、失明まで進むことがあります。ですから、後発白内障のレーザー術にも保険が適用されています。一般の白内障の再発だと思われると、「またか、きりがないな」と感じるかもしれませんが、それぞれ別の病気で、別個の解決が可能です。約2割の方にはお手間になってしまうかもしれませんが、しっかりと治していきましょう。
※この記事はMedical DOCにて【白内障手術を受けた人が“再発”する「後発白内障」とは? 注意点や治療方法を解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。