片頭痛の治療薬「エムガルティ」のメリット・デメリットを薬剤師が解説 ほかの薬との違いは?
自分で注射をおこなう頭痛薬「エムガルティ」。従来の頭痛薬に比べて、高い効果が期待できる薬ですが、どんな人にも効果がある薬なのでしょうか。具体的なメリット・デメリットも気になります。薬剤師の福田さんに伺いました。
※この記事はMedical DOCにて【片頭痛治療の新薬「エムガルティ」のメリット・デメリットとは? 薬剤師が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修薬剤師:
福田 治樹(薬剤師)
編集部
エムガルティにはどんなメリットがあるのですか?
福田さん
エムガルティは月に1回のみ、医師による注射あるいは自己注射を行い、その後は何もする必要がなく楽に過ごすことができます。翌日には高い効果を得られ、慢性的な症状に悩む方やほかの治療薬で効果がない方にも効果が得られています。実際に、6カ月間使用した結果、症状の強さや日数が半減した割合は59%、75%減少した割合は33%、症状が全く出なくなった割合は11%という臨床結果が出ているほどです。そのほかにも急性期治療薬の使用頻度が減るといったメリットもあります。
編集部
反対に、エムガルティのデメリットはあるのですか?
福田さん
エムガルティは誰でも使用できる薬剤ではありません。過去3ヶ月の間で平均して1ヶ月に4日以上片頭痛がないと使用できないので注意が必要です。そして注射剤のため、飲む薬ではありませんが皮膚に針を注射して使用します。痛みが苦手な方にとっては不快感が出ますし、注射部位は人によってしこりなどが残る場合もあります。初回保険3割負担の場合は2万7099円、2回目以降保険3割負担の場合は1万3550円と高価であることもデメリットと言えますね。
編集部
従来の薬よりもエムガルティを使用したほうが良いのですか?
福田さん
必ずしも誰もがエムガルティの使用が最適というわけではありません。なるべく服用の回数や手間を減らしたい方や、高いお金を払ってでも症状を少なくしたい方には適している方法でしょう。しかし、治療効果には個人差があります。従来の内服薬の方が片頭痛症状を抑えやすいという方もいます。自分にはどのような治療方法が合っているのか、ライフスタイルや経済的な状況とバランスを見て、医師としっかり相談しましょう。