「認知症に“絶対”ならない」ということは不可能? どのような考え方をすればいいのか
おそらく、ほとんどの方が「認知症になりたくない」と思っているでしょう。しかし、「里村医院」の里村先生は、「認知症に“絶対”ならないということは不可能」と言います。一体、私たちにできることはないのでしょうか。詳しく伺いました。
※この記事はMedical DOCにて【「認知症は誰にでもなり得る病気であることを知ってほしい」エビデンスに基づいた予防法を解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
里村 元(里村医院)
編集部
「絶対に認知症にかからない」という方法はないのでしょうか?
里村先生
そうですね。絶対に認知症にかからない方法はありません。同様に、生活習慣病予防がおろそかだったから認知症にかかったとも言いきれません。身体機能や脳機能の維持として生活習慣病対策は有効でしょう。ですが、認知症の人に対して「ズボラだったから認知症になったのだ」とは決めつけないことですね。その1点だけはご注意ください。
編集部
認知症になるかならないかは、確率の問題であるということですか?
里村先生
はい、確率論です。「人生100年時代」と謳われていますが、ヒトはもともと100年生きることを前提にしていませんでした。認知症に限らず、運動機能の衰えによるロコモ、老眼や白内障といった目の病気も同様で、「加齢による衰え」は誰にでも訪れます。
編集部
認知症は、長生きという恩恵が生んだ「副産物」なのですね。
里村先生
そうですね。認知症を「長生きの証」のように捉えた方が、よりポジティブなのかなと思っています。そして、加齢を“遅らせる方法”なら、いくつか考えられます。生活習慣病予防策は、その顕著な一例です。
編集部
自立して生きられる「健康寿命」という概念も、使われるようになってきました。
里村先生
一般的な「平均寿命」と、元気で過ごせる「健康寿命」の間には、約10年のギャップがあると言われています。医療によって平均寿命を延ばしている側面があるからです。このギャップを埋めるには、とにかく病気にならないことでしょう。
編集部
わかりました。最後に、読者へのメッセージをお願いします。
里村先生
認知症予防と同時に、「認知症を支えられる社会」の在り方も考えてみましょう。認知症が不可避である一方、「認知症を支えられる社会」はつくることができます。認知症であることを“隠して生きる”のではなく、第2の人生として幸せに暮らせるような社会が理想的です。