「耳かき」はほどほどに! 医師が語る“やりすぎNG”な理由「鼓膜が破れるリスクも」
「耳かきのやりすぎは良くない」ことをご存じですか? 気持ちよくなって、ついやりがちですがトラブルを引き起こす可能性も。耳かきをやりすぎで起こる問題について、耳鼻咽喉科の磯野先生に解説していただきました。
※この記事はMedical DOCにて【「耳かきのやりすぎ」は外耳炎や鼓膜穿孔に? 医師がリスクと正しいやり方・適切な頻度を解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
磯野 志真(医師)
編集部
まず、耳垢がたまる原因について教えてください。
磯野先生
耳垢は、耳の中の細い通り道である「外耳道(がいじどう)」にある皮脂腺や耳垢腺から出る分泌物に、古くなった皮膚やほこりなどが混ざったもののことを指します。人間には耳垢を自然に排泄する機能が備わっており、これを「自浄作用」と言います。自浄作用によって聞こえが悪くなるくらい耳垢がひどくたまることはほとんどありませんが、多少の耳垢はたまることもあります。子どもの場合は、大人に比べて外耳道が狭いため耳垢がたまりやすく、また、高齢者の場合は加齢に伴い耳の自浄作用が低下するので耳垢がたまりやすくなる傾向にあります。
編集部
そこで本題です。「耳かきのやりすぎは良くない」と聞いたことがありますが、これは本当ですか?
磯野先生
そうですね。ヒトには耳垢を自然に排泄する機能が備わっているため、多少の耳垢であれば家庭で無理に取る必要はありません。綿棒や耳かき棒で習慣的に耳かきをしている人もいらっしゃると思いますが、入浴後に濡れた耳を軽く拭う程度で十分です。むしろ耳かきのやりすぎは、耳のトラブルを引き起こす可能性があることを認識してほしいと思います。どうしても耳垢が気になるときは耳鼻科を受診してみましょう。
編集部
耳かきをやりすぎると、どのような問題が起こりますか?
磯野先生
強く耳をかきすぎると、外耳道を傷つけて「外耳炎(がいじえん)」を引き起こすことがあります。また、耳かきの際に奥まで綿棒などで触ってしまうと、耳垢を奥にさらに押し込んでしまう可能性があり「耳垢栓塞(じこうせんそく)」になってしまいます。ほかにも、耳かきをしているときに他人と接触して、耳かき棒などを誤って奥に入れすぎて鼓膜を破ってしまう「鼓膜穿孔(こまくせんこう)」が起こることもあります。とくに子どもは想定外の動きをするため、トラブルが起こりやすいので注意が必要です。