「腎臓病」を悪化させないために必要なことを医師が解説 放置すると全身に影響が出る可能性も…
腎臓は「沈黙の臓器」と言われるほど、症状が出にくい病気として知られています。症状が出ないと、なかなか危機感を持ちにくく放置してしまうという方も多いでしょう。そこで今回は、「赤羽もり内科・腎臓内科」の森先生に、腎臓病を放置することのリスクについて伺いました。
※この記事はMedical DOCにて【クレアチニンが高いと体にどんな影響がある? 日常生活で気をつけるべきことを紹介】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
森 維久郎(赤羽もり内科・腎臓内科)
編集部
運動や食事のほかに、気をつけることはありますか?
森先生
腎臓病といってもその中身は様々なので、血液検査の結果を照らし合わせて主治医と相談しながら対策を立てるのがいいでしょう。例えば、腎臓病の食事療法でおこなわれるタンパク質の制限は、正しくおこなわないと身体機能を低下させたり、死亡率を増やしたりと、逆効果になることもあります。本当におこなうべきなのかを主治医と確認して、専門の管理栄養士と協議しながら治療することをおすすめします。
編集部
受診の必要性はわかりますが、「怒られるために行く」ような気がして後ろめたいです。
森先生
そうかもしれないですね。ただ、ご自身の「現在の腎臓の状態」と「未来の腎臓の状態」を把握し、今後におこなうべき治療を主治医と協議するのが得策だと考えます。
編集部
自己変容できるかどうかも自信がないです。
森先生
そこは医師に限らず、看護師や管理栄養士などの「コメディカル」と呼ばれるスタッフの力を活用することが大切です。私を含め、医師は何かとコミュニケーションが上手でなく、じつのところ食事や運動療法などの細かいところは専門家には敵いません。医師は「判断と投薬」、スタッフは「実際の運用」というように、それぞれの得意分野を活かしてチームで診療をしているため、積極的にコメディカルを活用しましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
森先生
腎臓病は、腎臓だけでなく全身に影響を与える病気です。いきなり「〇〇を食べれば腎臓が良くなる」という情報に飛びつくのではなく、eGFRと尿タンパクで腎臓の現在の状態や未来の予想を把握して、原因を特定するという広い視点で評価して治療をおこなう必要があります。そのうえで必要な生活習慣の取り組みについては、ぜひチーム医療を活用してください。一人で抱え込み我流で治療をおこなうよりは、専門家と一度相談をすることをおすすめします。