健康診断で「クレアチニンが高い」と言われた…対策には運動が効果的?
健康診断の結果が悪かった際、その後のアクションをどうすればいいのか困ったことがある方も多いのではないでしょうか。今回は、腎機能の検査項目である「クレアチニン」が高いと言われたらどうすればいいのか、「赤羽もり内科・腎臓内科」の森先生に伺いました。
※この記事はMedical DOCにて【クレアチニンが高いと体にどんな影響がある? 日常生活で気をつけるべきことを紹介】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
森 維久郎(赤羽もり内科・腎臓内科)
編集部
もし腎臓病だった場合、どのような治療をしていくのでしょうか?
森先生
まず大前提として、腎臓病は「結果」であり、背景に腎臓病になってしまった「原因」があります。原因として多いのは、糖尿病や高血圧のような生活習慣病です。ただし、免疫や遺伝の病気が原因となっている場合もあります。治療は原因に対する治療、例えば高血圧が原因の場合は血圧を下げる食事や運動、薬の治療が必要になります。
編集部
生活習慣病には「運動」が有効と聞きますが、かえってクレアチニン値は高くなりませんか?
森先生
たしかに筋力トレーニングで増えた筋肉により、クレアチニンが高くなることもありますが、実際に腎機能が低下しているわけではありません。高血圧や糖尿病には運動が効果的なので、積極的に取り入れましょう。また、腎臓病になると身体機能が健常な人の7割ほどに低下するため、腎臓病における運動療法は大変に注目されており、「腎臓リハビリテーション」という治療も積極的に取り入れられています。なお、運動中は水分補給も忘れずにおこなってください。
編集部
必要によっては薬も併用するのですよね?
森先生
はい。とくに血圧や血糖は腎機能の低下の原因となるので、高い場合は投薬が必要になります。また、血圧や血糖の薬の中には「無理して働いている腎臓を休める」効果がある薬もあります。腎臓病の中には腎臓に過剰な負担がかかっている病態のものもあるので、そのようなときはこれらの薬を使用します。
編集部
腎臓病で「初の治療薬」が登場したそうですが?
森先生
「フォシーガ」のことですね。SGLT2阻害薬と呼ばれる薬の一種で、尿から糖分を出す作用があり、糖尿病の治療で使われている薬です。新聞記事などを読んで、「フォシーガ」を名指しで希望する患者さんもいらっしゃいます。ただし、処方は病態によるので、全症例に対して有効とは限りません。例えば、腎機能が中等度~高度になっている場合や高齢者で痩せ型の場合などは、デメリットがメリットを上回る可能性もあります。