「コーヒーは脂肪肝を抑制できる」って本当? 他の疾患にも良いって聞くけど
コーヒーは肝硬変を抑制できるわけではないが、一定の効果は期待できると語るのは青葉台かなざわ内科・内視鏡クリニックの金沢先生。その理由やコーヒーが予防に役立つほかの疾患などについて教えてもらいました。
※この記事はMedical DOCにて【コーヒーで脂肪肝を抑制! 医師がコーヒーの健康効果や正しい飲み方を解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
金沢 憲由(青葉台かなざわ内科・内視鏡クリニック)
編集部
最近、「コーヒーで肝硬変を抑制できる」とメディアなどで目にします。この説は本当なのでしょうか?
金沢先生
近年の研究では、「コーヒーの摂取が非アルコール性の脂肪肝の発症と進行を防ぐ効果が期待できる」ということが報告されています。つまり、「コーヒーは肝硬変を抑制できる」とは言いすぎですが、少なくとも一定の効果は期待できます。
編集部
なぜ、コーヒーが脂肪肝に効果的なのですか?
金沢先生
コーヒーと脂肪肝の間には、様々な関係があることが研究で判明しています。少し難しい話になりますが、その1つとして肝臓に存在する「肝星細胞」と呼ばれる細胞の作用を阻害することが挙げられています。この細胞の作用とは肝臓を線維化させ、肝硬変に導くものです。この作用をコーヒーに含まれるカフェインが遮断することで肝障害の悪化を防ぐというわけです。詳細は省きますが、面白いことにノンカフェインのコーヒーも非アルコール性脂肪肝に効果的であるとする報告もあります。
編集部
脂肪肝のほかにも、コーヒーが予防に役立つ疾患はありますか?
金沢先生
そのほかにも、コーヒーの健康効果については様々な研究が進められています。例えば、コーヒーは心筋梗塞、心不全、脳卒中などの心血管疾患の予防にも効果が期待できることがわかっています。これもカフェインの有無に関わらず効果があるようです。
編集部
コーヒーをたくさん飲めば、肝臓がんを予防できるということでしょうか?
金沢先生
いいえ。コーヒーを多く飲むと肝がんの発生率が低くなるかどうかについては、まだ証明されていません。ただし、アメリカやイタリアの研究でも肝障害を改善したり、肝硬変を予防したりする効果が証明されており、肝臓に対するコーヒーの健康効果はますます注目を集めています。