肝臓の数値が悪かったら必ず医師の精密検査を! 放置すると「肝臓がん」になる可能性も…
健康診断の結果を見て、「このくらいならまだ精密検査を受けなくても大丈夫だろう」と放置していませんか? 東長崎駅前内科クリニックの吉良先生は「肝臓の結果が悪いのに放置していると、肝臓がんになる可能性もある」といいます。そこで今回は、肝臓の数値が悪かった際にどうすればいいのかについて、取材しました。
※この記事はMedical DOCにて【肝臓の数値は健診の「γ-GTP」(ガンマ・ジーティーピー)だけ見ておけば大丈夫?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
吉良 文孝(東長崎駅前内科クリニック)
編集部
ところで健診項目は、肝臓のどのような病気を疑うものなのでしょうか?
吉良先生
主に肝臓の腫瘍と炎症の有無です。特に肝臓の炎症は、オーバーワークによっても起きますし、肝臓に付いた脂肪によっても引き起こされます。ほか、感染によるものや、お薬の副作用なども考えられます。薬やサプリメント、食べ物なども含め、“口に入れる成分の濃いものは肝臓で処理される可能性がある”ということを知っておいてください。
編集部
「アルコール」じゃなくても肝臓の炎症は起こりえるわけですか?
吉良先生
はい。昨今、アルコールを原因としない脂肪肝や肝硬変に注目が集まっているようですね。お問い合わせも多くいただきます。しかし、原則は、“口に入れる成分の濃いものは肝臓で処理される可能性がある”です。その結果が、健診結果に現れていると受け止めてください。その後の治療も、原因によって変わってきます。
編集部
炎症の段階なら、原因を取り除けば沈静化しますよね?
吉良先生
はい。例えば薬剤性の肝炎なら、原因となるお薬をやめれば治ります。アルコール由来なら節酒・禁酒ですし、脂肪肝なら食事療法や運動療法ですね。一方、炎症を起こした箇所が繊維化、つまり肝硬変になってしまうと、元には戻りません。肝硬変から肝臓がんに至るケースもあります。
編集部
自発的に禁酒したり運動したりすることが、当を得ていない場合もあるということでしょうか?
吉良先生
その可能性はあります。ですから、健康診断で異常値が出た場合、一足飛びに自己判断しないようにしましょう。対策は、医師に診てもらって、真の原因が判明してからです。一言で肝臓の異常といっても、さまざまな原因があります。
編集部
健診結果を経て精密検査するとしたら、専門性の高い医療機関がいいのでしょうか?
吉良先生
ぜひ、そうしてください。非アルコール性肝炎の情報が広まるにつれ、一部で誤診も見うけられるようです。きちんとした検査手順を経て、診断してもらうべきでしょう。肝炎の原因を複数、抱えている場合もあります。
編集部
一方、冒頭のように、異常値が出ていても「異常がみられない」ケースもあるということでしたよね?
吉良先生
はい。γ-GTPは受診、検査のきっかけになるものの、数値だけで結論づけられません。もっとも、診断は医師がすることですから、自己判断しないようにしてください。
編集部
最後に、読者へのメッセージがあればお願いします。
吉良先生
医師側からしたら、γ-GTPの数値だけで肝臓の状態を評価するのは早計です。しかし、患者さん側の受診動機としては十分だと思います。肝臓の病気にはさまざまな原因が潜んでいますので、繊維化しないうちに解決しましょう。仮に問題ナシと診断されても「ムダに終わった」と捉えず、「健康で良かった」と受け止めていただきたいですね。