「γ-GTP」について医師が解説 肝機能はγ-GTPだけ見てれば大丈夫?【健康診断】
健康診断の結果を見ているとき、「この数値は何を表しているのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか? ローマ字の羅列が並んでおり、よくわからないという方も多くいらっしゃると思います。そこで今回は、肝機能結果の一つである「γ-GTP」について、東長崎駅前内科クリニックの吉良先生に伺いました。
※この記事はMedical DOCにて【肝臓の数値は健診の「γ-GTP」(ガンマ・ジーティーピー)だけ見ておけば大丈夫?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
吉良 文孝(東長崎駅前内科クリニック)
編集部
肝臓機能のバロメーターとして、とりわけ「γ-GTP」(ガンマ・ジーティーピー)が注目されがちですが、なぜでしょうか?
吉良先生
おそらくですが、「ガンマ」という文字の響きが印象に残るのでしょう。また、ほかの項目は正常値で、γ-GTPだけに異常値がみられることもあります。ですから、「異常値の現れやすい項目」であることは確かです。ちなみにγ-GTPは酵素の一種で、肝臓の代謝を上げる必要があるときに多く出されます。例えば、お酒を飲んだ後などです。ですから、肝臓がきちんと働いていることの証でもあるのです。
編集部
健診結果の肝臓の欄には、ほかにも項目が並んでいますよね?
吉良先生
はい。AST(GOTともいう)とALT(GPTともいう)が代表的で、これらはともに、肝臓が壊れたときに出されます。γ-GTPも肝臓が壊れたときに出されますが、壊れなくても、必要に応じて出される酵素です。ですから、肝臓の状態を判断するとき、「γ-GTPだけをウォッチしていればいい」ということにはなりません。
編集部
ASTやALTも含めて多軸で評価していくということですか?
吉良先生
はい。ASTとALTは肝臓の壊れた箇所によって出方が異なるので、「今、肝臓がどうなっているのか」が把握しやすくなります。γ-GTPの数値だけでもある程度は推測できますが、やはり、ほかの項目や患者さんの生活内容なども加味して評価します。
編集部
総合判定のABCなどは、どこまできめ細かく肝臓の状態を反映しているのでしょう?
吉良先生
各項目の数値から一律に付けられます。ですから、肝臓に異常がなくて「きちんとお酒を分解している証としてγ-GTPの異常値が出ている場合」でも、A判定以外になることはありえます。しかし、患者さんは、異常値や判定結果を基に、必要に応じて受診してください。決して「γ-GTPの数値は当てにならない」ということではありません。