糖尿病網膜症の治療法はご存じですか? レーザーで治療できるって本当?
糖尿病網膜症の治療では、網膜に特殊なレーザーを照射し、進行を予防するそうです。なぜそれで進行が予防できるのか、イセザキ眼科医院の杉本先生に話を聞きました。
※この記事はMedical DOCにて【糖尿病の三大合併症の1つである「糖尿病網膜症」、末期になるまで自覚症状がないって本当?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
杉本 哲理(イセザキ眼科医院)
編集部
糖尿病網膜症の治療は、どのようにおこなうのですか?
杉本先生
自覚症状の有無にかかわらず、中期の場合は「網膜光凝固術」というレーザー治療をおこないます。網膜に特殊なレーザーを照射して焼き固め、病気の進行を予防します。
編集部
なぜ、レーザーを照射すると病気の進行が予防できるのですか?
杉本先生
糖尿病網膜症では毛細血管が詰まってしまうため、新しく血管を作ろうとします。これを「新生血管」と言いますが、この血管は非常に脆く出血しやすいのです。そして、出血が原因で様々な症状を引き起こします。そのため、レーザーを照射して網膜を焼くことで、新しい血管が作られなくなり、糖尿病網膜症の進行を防ぎます。
編集部
ほかには、どのような治療法がありますか?
杉本先生
基本的な考え方として、糖尿病の進行を抑えるために血糖コントロールは大切です。とくに、初期の段階であれば、血糖値のコントロールをすることで網膜の出血が改善することもあります。
編集部
なるほど。糖尿病網膜症の治療のためには、根本的な原因である糖尿病の進行を抑えることが大事なのですね。
杉本先生
そのとおりです。もし、糖尿病と診断されたら、内科で血糖値をコントロールするとともに、糖尿病網膜症の進行を最小限で食い止めるために、できるだけ早く眼科を受診しましょう。その時点では網膜に異常がなくても、数カ月から数年してから網膜に異常が出ることも多く、眼科で定期的に眼底検査を受けることが重要です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
杉本先生
糖尿病網膜症は、「症状が現れる=末期」であることが多い病気です。そのため、症状が出ないうちから対処することが重要になってきます。糖尿病と診断されたら、眼科にも受診して眼底を診察してもらいましょう。もし異常がある場合は、糖尿病にも精通している眼科医にかかるのが理想的です。とくに、レーザー治療は目の状態や病気の進行によってレーザー出力のコントロールしたり、打ち方を変更したりする必要があり、医師の習熟が問われる治療法です。可能であれば、糖尿病を専門に扱う眼科医のもとで、治療を受けるようにしましょう。