「白内障手術」の流れはご存じですか? 復帰の目安や眼内レンズの寿命も医師が解説!
「白内障手術」の流れはご存じですか? 今回は、復帰の目安や眼内レンズの寿命について「アイケアクリニック東京」の佐藤先生に解説していただきました。
※この記事はMedical DOCにて【白内障手術の眼内レンズの選び方を眼科医が解説 多焦点・単焦点どちらが良い?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
佐藤 香(アイケアクリニック東京)
編集部
まずは、日帰りが主流となってきた白内障手術の流れからお願いします。
佐藤先生
最初におこなうのは、手術全体の説明と、眼内レンズ選びも含めたカウンセリングです。「日帰り」といっても、初診の日に手術をするわけではありません。また、「両目を同時に手術するケース」と「片目ずつ別日程で手術するケース」があります。手術そのもののリスクは片目でも両目でも変わりませんが、手術に対する不安を両目同時に抱えるか、分散させるかをどう判断するかですね。ただ、両目同時のほうが、患者さんにとって手術日程調整が難しくなく、コストも抑えられます。そこはご都合に合わせて検討していきましょう。手術時間は片目で5~10分ほどなので、仮に両目同時でも、時間的なご負担にならないと思います。
編集部
眼内レンズは、コンタクトレンズのように、目の表面にかぶせるのですか?
佐藤先生
いいえ。濁った水晶体を削った後のスペースに挿入します。眼内レンズには“特殊な脚”のようなパーツがあり、これによってズレることのないように安定を図っています。このような挿入するレンズを「IOL」(アイオーエル)と呼んでいます。他方、視力矯正を目的としたレンズの中には、目の表面近くに固定する眼内コンタクトレンズ「ICL」(アイシーエル)もありますが、これらは別物です。後者の「ICL」は、白内障が出ていない若い方の近視対策として用いられています。
編集部
日帰り手術の場合、手術後のリカバリーはどうしているのでしょう?
佐藤先生
手術後で最も怖いのは感染症リスクです。そこで、目の保護ができるゴーグルの着用をお願いしています。かつては「眼帯」で感染症予防をしていましたが、手術の技術が向上して感染リスクを低減できたこともあり、昨今の主流はゴーグルという印象ですね。また、帰宅後の洗顔や入浴時の注意点などは、医師やスタッフから説明があるはずです。
編集部
職場復帰の目安についても知りたいです。
佐藤先生
お仕事の中身によりますね。やはり怖いのは感染症です。土やほこりの多い環境、あるいは漁師さんや水泳のインストラクターといった水に接する機会の多い環境では、1カ月ほどかかるかもしれません。一方、空調の効いた室内環境なら、数日間といったところでしょうか。
編集部
ところで、眼内レンズに寿命はあるのでしょうか?
佐藤先生
「白内障のレンズは何年もつ?」といった問い合わせを受けますが、「半永久的にもつ」と言っていいと思います。実際、先天性の白内障で赤ちゃんに手術するようなケースでも、人工レンズの交換は不要です。また、「眼内レンズはなにでできているの?」という質問も多いですが、主にアクリルを使用しています。ですから、レンズのズレといった不具合や見え方の不満といったケースを除けば、基本的に一生、交換不要です。もちろんご希望があれば、交換や再手術をおこないます。