「うつ病」になる「3つの原因」をご存知ですか? それぞれの特徴を医師が解説
「うつ病の原因」というと、ストレスなどの心因性を想像される方が多いでしょう。しかし、「医療法人社団こころみ」理事長の大澤先生は「うつ病の原因は大きく3つに分けられる」と言います。具体的にどのような原因なのか、詳しく伺いました。
監修医師:
大澤 亮太(医療法人社団こころみ)
編集部
そもそも、「うつ病」という病気には診断基準がありますよね?
大澤先生
海外ではガイドラインを用いて症状から診断基準の項目に基づいて、画一的に診断をつけています。その一方で日本は、原因を重視するところがあって、「外因性」「内因性」「心因性」という原因を大きく分けて考えながら、うつ“状態”として治療を開始していることが多いですね。
編集部
3つの原因について、もう少し詳しくお願いします。
大澤先生
心因性は、様々な「ストレス」による心理的負荷が原因となっていることです。「外因性」は、外傷や身体の病気が脳の働きに影響している場合です。「内因性」は、性格傾向や物事の捉え方が要因として大きい場合です。これらの原因によって脳の機能異常が起きていることをうつ病と考えていますが、原因によって治療アプローチを変えていく傾向が、伝統的に日本の臨床医にはあると思います。
編集部
うつ病は、脳の病気なのでしょうか?
大澤先生
「脳のネットワークに異常をきたしている状態」だと考えられています。脳はたくさんの機能を担っていますが、様々な領域がネットワークを作っていて、非常に複雑な働きをしています。うつ病では何らかの脳のネットワーク異常が起こっていて、それによって症状が現れていると考えられています。
編集部
だとすると、うつ病の治療の目的は「ネットワークの回復」ですか?
大澤先生
症状がひどいときは、状態の回復が大切です。標準的な治療法としては、抗うつ剤による薬物療法になります。認知行動療法などの心理療法も知られていますが、あまりに調子が良くないときは、言葉の力では難しいことが一般的です。また近年は、「rTMS療法」という、磁気の力を介して、脳内にピンポイントで電気刺激をして神経の働きを調整する新しい治療もあります。