医師に聞く『骨粗しょう症予防』のための生活習慣とは?【運動・食事・減塩・日光】
年齢を重ねたり閉経を迎えたりすると心配になるのが「骨粗しょう症」のリスクです。そんな骨粗しょう症を予防するためには日々の生活習慣が重要です。そこで、骨粗しょう症予防のための生活習慣について医師の朱田先生に聞いてみました。
監修医師:
朱田 尚徳(所沢あかだ整形外科)
編集部
骨粗鬆症を防ぐには、日常生活でどんなことに気をつければいいでしょうか?
朱田先生
まずは、運動習慣をつけることから意識していただきたいです。とくに、ウォーキングやジョギングがおすすめです。歩くことで重力が骨へ刺激となって伝わり、骨の強度が増します。ただし、転倒には十分気をつけながら運動をおこなうようにしましょう。
編集部
食事面で注意すべき点はなんでしょうか?
朱田先生
よく「骨粗鬆症を予防するにはカルシウム」と考える人も多いと思いますが、カルシウムだけでなく、ビタミンやミネラルもバランスよく摂ることが大切です。とくに、ビタミンKやビタミンD、タンパク質は骨を作るのに重要な栄養素ですが、普段の食生活ではどうしても不足しがちなので、積極的に摂るようにしましょう。
編集部
ほかにも、積極的に摂った方がいい食べ物はありますか?
朱田先生
動物性の脂を摂ることも大事ですね。なぜなら、動物性の脂は骨の形成を促進する働きがあるからです。しかし、高齢になると食べる量が減ってしまい、必要な栄養素を摂取できないという人も少なくありません。まずは1日の食事摂取量を見直してみて、不足している場合は必要に応じてサプリメントなどを活用するのもいいでしょう。
編集部
反対に、控えた方がいい食べ物はありますか?
朱田先生
カルシウムの吸収を妨げる食べ物には要注意です。例えば、インスタント食品やスナック菓子、アルコール、カフェインは控えた方がいいですね。また、食塩はカルシウムの排泄を促す作用があるため、減塩を意識しましょう。加えて、肥満の人は生活習慣病に気をつけることも大切です。
編集部
そのほか、日常生活で気をつけることはありますか?
朱田先生
できるだけ外に出て、日光を浴びるようにしましょう。日光を浴びると、体内ではビタミンDが作られます。ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあるため、積極的に摂りたい栄養素ですが、日々の食事では不足しがちです。そのため、毎日30分~1時間程度は日光にあたり、ビタミンDの生産を促進するような行動を取るといいでしょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
朱田先生
骨粗鬆症が進行すると「連鎖骨折」といって、ドミノ倒しのように次々と骨が折れることがあり、次第に寝たきりに近づいてしまいます。寝たきりになれば、その後の生存率も低下します。つまり、骨粗鬆症は死に近づいていく直接的な状態なのです。その一方、重症であっても、そのリスクをあまり感じていない人も多いのが現状です。例えば、がんと診断されれば一生懸命治療を続けるでしょうが、骨粗鬆症の場合はその重要性がピンときていない人も少なくありません。しかし、骨粗鬆症をきっかけに骨折した人の5年生存率は高くなく、命の関わる重大な問題だということを、しっかり理解する必要があります。骨粗鬆症はきちんと治療すれば確実によくなる病気ですし、また、若いうちから生活習慣など気をつけておくことで予防することもできます。閉経が近い女性や生活習慣病のある男性は、年1回くらい整形外科で骨粗鬆症のチェックをしてもらうことをおすすめします。何も異常がなくても、定期的に骨密度を測定する習慣をつけましょう。
- メディカルドック