甲状腺ってどんな臓器?甲状腺ホルモンの働きについてご存じですか?
甲状腺は新陳代謝を促進したり、脈拍や体温を調節したり、自律神経の働きを整えたりする重要な役割を担っている甲状腺ホルモンを分泌する臓器です。そんな甲状腺の病気が女性に多い理由などをClinic Le GINZA 銀座有楽町内科の山村先生に聞きました。
監修医師:
山村 聡(Clinic Le GINZA 銀座有楽町内科)
編集部
甲状腺にはさまざまな疾患があると聞きました。そもそも甲状腺とはどこにあるのですか?
山村先生
甲状腺とは喉仏の下にある臓器のことで、ちょうど、蝶がはねを広げたような形をして気管に張り付いています。主な役割として、甲状腺ホルモンを分泌しています。
編集部
甲状腺ホルモンとはなんですか?
山村先生
あまり知名度は高くないかもしれませんが、実は、甲状腺ホルモンは健康を維持するうえで重要な役割を果たしています。たとえば新陳代謝を促進したり、脈拍や体温を調節したり、自律神経の働きを整えたりするほか、子どもの成長や脳の働きを維持するためにも重要な役割を担っています。
編集部
甲状腺の疾患とは、どのようなものですか?
山村先生
一般的に知られているものとして甲状腺の機能が低下する疾患と、亢進(こうしん)する疾患があります。機能が低下すると甲状腺ホルモンの分泌量が低下しますし、反対に亢進するとホルモンの分泌量が過剰になります。前者の代表は「橋本病」、後者の代表が「バセドウ病」です。
編集部
甲状腺の疾患は女性に多いと聞きましたが、本当ですか?
山村先生
確かに男性に比べて女性に多く発症します。研究によると、橋本病は男性の2倍以上、バセドウ病は男性の約5倍多く発症することがわかっています。
編集部
なぜ、女性が多いのですか?
山村先生
その理由は、まだ十分にわかっていません。しかし、橋本病やバセドウ病は自分の細胞を異物と勘違いして攻撃したり、臓器の働きを促進したりする自己免疫疾患が原因と考えられており、自己免疫疾患は女性に多く発症することから、橋本病やバセドウ病も女性の患者さんが多いのではないかと考えられています。