「心不全を予防」するために大切な生活習慣はご存知ですか?【医師解説】

Medical DOC監修医が心不全を予防するために大切な生活習慣・運動習慣などを解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「心不全を予防」する可能性の高い食べ物はご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
小鷹 悠二(おだかクリニック)
目次 -INDEX-
「心不全」とは?
心臓は血液を送り出すポンプの働きをしており、体の血液を循環させる中心的な働きをしています。
心臓のこのような血液を送り出すポンプの作用が低下し、うまく血液が送り出せなくなってしまった状態を、心不全と呼びます。
心不全を発症するとどのようなリハビリを行う?
心不全などの心臓疾患で治療を必要とする患者さんに対しては、心臓リハビリテーションが行われることがあります。
心不全を発症した場合には、心機能を考慮して、過度の負荷にならないような範囲で、身体機能が低下しないようリハビリを行う必要があります。
心臓リハビリテーション
心不全の入院中や、退院後に外来で実施されます。
入院中では、治療中は安静にしていることが多いですが、症状が改善傾向となってきた段階で、早期に体を動かし始めることで、体力の低下を予防することができます。特に高齢者では心不全入院に伴う身体機能の低下、再入院の予防効果が証明されています。
病状改善後、6分間歩行試験が可能となったのちから、運動療法が開始されまし。基本の構成は低強度の有酸素運動と筋トレなどのレジスタンストレーニングを組み合わせて行われます。
近年では心肺運動負荷試験 (CPX)を実施してどのくらいの運動に耐えられるか、どのくらいの強度の運動がちょうどよいかを評価し、メニューを調整してリハビリを行うことが増えています。
退院後も外来での心臓リハビリテーションが実施されることもあり、継続した医療スタッフによる監視下運動療法だけでなく、生活指導・食事指導・服薬指導・禁煙指導などの学習指導活動や職場復帰や心配ごとの相談・カウンセリングなどを含めた包括的な心不全再発予防のための教育・指導まで含めたプログラムで行われます。
現状の医療保険では賀来心臓リハビリテーションは150日以内とされているため、その後は自宅での在宅運動療法や民間運動施設での運動療法を継続することになります。
基本的には一生継続することが望ましく、それにより心不全再入院や心血管疾患の発症抑制が期待されます。
心不全を予防するために大切な生活習慣・運動習慣
心不全は生活習慣病や心疾患が原因となることが多く、発症を予防するためには血圧や脂質、血糖が高くならないようにすることが非常に重要となります。
生活習慣に気を付ける
多くの心疾患は動脈硬化が原因となるため、最も基本的な点は生活習慣に気をつける事です。気をつけるポイントとしては、以下のような点があります。
- ・塩分をとり過ぎない:1日の塩分量は6g以下を意識する
- ・カロリーをとり過ぎない:通常成人では、年齢や活動量に応じて1800-2600kcal程度のカロリー摂取が推奨されます。さらに、野菜や果物の積極的な摂取、脂分が多い食品をとり過ぎないことが推奨されます。
- ・太り過ぎない:BMI(体重[kg]÷身長[m]2)25未満を心がける
- ・運動習慣:軽く汗ばむ位の有酸素運動を1日60分(歩行なら1日8000歩以上)行う
- ・節酒:エタノールとして1日、男性20-30ml(日本酒1合、ビール中瓶2本、焼酎0.5合、ワイン2杯、ウイスキーダブル1杯に相当)、女性は約半分の10-20ml以下の制限が推奨されます。
- ・禁煙:喫煙は高血圧、心臓・脳血管疾患、肺疾患、悪性腫瘍等、様々な疾患リスクとなる事が証明されています。
健康診断、定期的な検査を受ける
心不全の原因となる疾患の多くは、高血圧等の生活習慣病や、心臓の異常であるため、定期的に健康診断を受けて、身体診察、心電図やレントゲン、採血検査等を受けることで早期の診断、早期治療に繋げることが可能です。
より早い段階で診断・治療を行う事で、危険な状態になるまで病気を放置する事がなくなり、心臓発作の予防になります。
治療している病気をしっかりコントロールする
心不全の原因となるような病気は、生活習慣病や慢性的な心臓病が多く、適切な治療を受けることで病気の進行や心臓に過度の負荷がかかる事を防止する事ができます。
高血圧や脂質異常、糖尿病などの生活習慣病や慢性的な心臓病は、治療が不十分であったり、治療を中断してしまうと動脈硬化を進行させ、心臓の負担を増やし、心不全の原因となるような心疾患を引き起こしてしまいます。内服をしっかり継続する事、医師による定期的な病状評価をうけること(診察や検査)、治療が不十分であれば治療強化を検討する事が非常に重要です。
「心不全の予防」についてよくある質問
ここまで心不全の予防について紹介しました。ここでは「心不全の予防」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
心不全を予防するために有酸素運動は有効ですか?
小鷹 悠二 医師
定期的な有酸素運動は、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣予防に非常に効果的であり、さらに動脈硬化の進行を抑える作用もあるため、心不全の原因となるような疾患の予防・治療にとても効果があります。
無理のない範囲からで構いませんので、軽く息が上がるくらい、軽く汗ばむくらいの強度の運動を毎日~週3日程度行えるように心がけましょう。
心臓を丈夫にする食べものはありますか?
小鷹 悠二 医師
特定の食事で心機能がよくなることはありませんが、前述のように塩分や脂質、糖分を取りすぎないようにする、魚や野菜・果物などを意識して食べるようにしてバランスの良い食生活を心がけることで、動脈硬化の進行や生活習慣病の発症を予防することができます。
コーヒーを含めたカフェイン摂取は心臓に負担をかけることはありますか?
小鷹 悠二 医師
コーヒーなどによるカフェイン摂取によって血圧が一時的に上昇しますが、高血圧を発症しやすくなることは証明されておりません。
中にはコーヒーを飲む人で血圧が下がりやすくなるといった報告もありますが、現時点ではその影響はわかっていません。
たばこのように明らかなリスクになることはないと思われますが、極端に多量に摂取すると動悸や不眠、頻尿などほかの症状を引き起こして生活に影響が出る可能性があるため、過量摂取は避けることが望ましいでしょう。
編集部まとめ
心不全は患者数が非常に増えている病気ですが、適切な食生活や生活習慣を意識することで、その発症を予防できる可能性があります。
若いから大丈夫、症状がないから大丈夫と思わずに、今の自分の生活習慣を見直して、少しずつでも改善できるところは改善する、といった姿勢が大切です。
「心不全の予防」と関連する病気
「心不全の予防」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
さまざまな原因で心不全が引き起こされる可能性があります。
「心不全の予防」と関連する症状
「心不全の予防」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
これらの症状が継続的に見られる場合には、医療機関への受診をお勧めします。