「心不全を予防」する可能性の高い食べ物はご存知ですか?【医師解説】

Medical DOC監修医が心不全を予防する可能性の高い食べ物・発症のリスクを上げやすい食べ物・飲み物などを解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「心不全を予防」する可能性の高い食べ物はご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
小鷹 悠二(おだかクリニック)
目次 -INDEX-
「心不全」とは?
心臓は血液を送り出すポンプの働きをしており、体の血液を循環させる中心的な働きをしています。
心臓のこのような血液を送り出すポンプの作用が低下し、うまく血液が送り出せなくなってしまった状態を、心不全と呼びます。
心不全を予防する可能性の高い食べ物
心不全そのものを食事で予防、改善することはできません。
しかし、心不全の発症・悪化の原因となるような、高血圧や脂質異常、糖尿病などの生活習慣病を予防したり、コントロールをよくすることは、心疾患の発症を予防し、間接的に心不全リスクを下げることにつながります。ここではどのような食事が心不全のリスクを下げることができるか、解説しまていきます。
野菜・果物
野菜や果物に豊富に含まれている食物繊維にはコレステロールや糖質の吸収を抑える作用があります。
カリウムには血圧を下げやすくする作用が、ビタミンには抗酸化作用があり動脈硬化の進行を抑える効果があります。
1種類だけではなく、様々な種類の野菜や果物をバランスよくとることが大切です。
例えば、ビタミンやカリウムは緑黄色野菜(トマト、ニンジン、ほうれん草など)に豊富ですし、食物繊維はごぼうなどの根菜類に多く含まれます。旬の野菜をバランスよくとることを心がけましょう。
魚
肉や魚は筋肉を作るたんぱく質をとるための重要な食べ物ですが、肉類中心の食生活になると動物性脂肪酸である不飽和脂肪酸が多く含まれており、血液中の中性脂肪やコレステロールを増加する作用があります。それにより動脈硬化が進行し、狭心症や心臓病、脳疾患などの原因となってしまうこともあります。
脂質は魚類にも含まれていますが、不飽和脂肪酸という中性脂肪やコレステロールの低下作用がある成分が多いため、動脈硬化を防ぐことで、生活習慣病の予防や、心臓、血管などの病気の予防にも役立つことが知られています。
そのため、肉の頻度を少し控えめにして、魚を食べる頻度を増やすことを意識してみましょう。
心不全発症のリスクを上げやすい食べ物・飲み物
脂質が多い食品
脂質を摂り過ぎないことが重要です。
脂質は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸がありますが、コレステロールなどを増加させやすい成分は飽和脂肪酸です。肉類や乳製品、油脂類(マーガリンやラードなど)、菓子などに多く含まれています。
そのため、飽和脂肪酸の取りすぎを避けることが重要であるため、肉だけではなく野菜や魚などバランスよく食べる、習慣的な間食を避けることが大切です。
調理方法としても、揚げ物や炒め物よりは、煮る・蒸す・油を使用しない網焼きなどの調理方法を増やすこともよい方法です。
酒
アルコールの習慣的な摂取は血圧上昇や心血管疾患(狭心症など)、不整脈などのリスクを高めることが知られています。
エタノールとして1日、男性20-30ml(日本酒1合、ビール中瓶2本、焼酎0.5合、ワイン2杯、ウイスキーダブル1杯に相当)、女性は約半分の10-20ml以下の制限が推奨されます。
タバコ
喫煙によって、血圧の上昇や動脈硬化の進行、血栓症を起こしやすくなることが知られています。特に心筋梗塞は喫煙によって男性で4倍、女性で3倍の発症リスクであることが明らかになっています。
吸っている本人だけでなく、副流煙によって周りの人にも影響を及ぼしてしまいます。
禁煙によって動脈硬化の進行、心血管疾患発症リスクが低下することも証明されており、喫煙しないことだけでなく、喫煙習慣がある人も可能な限り早期の禁煙をすることが非常に重要です。
「心不全の予防」についてよくある質問
ここまで心不全の予防について紹介しました。ここでは「心不全の予防」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
心不全を予防するために有酸素運動は有効ですか?
小鷹 悠二 医師
定期的な有酸素運動は、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣予防に非常に効果的であり、さらに動脈硬化の進行を抑える作用もあるため、心不全の原因となるような疾患の予防・治療にとても効果があります。
無理のない範囲からで構いませんので、軽く息が上がるくらい、軽く汗ばむくらいの強度の運動を毎日~週3日程度行えるように心がけましょう。
心臓を丈夫にする食べものはありますか?
小鷹 悠二 医師
特定の食事で心機能がよくなることはありませんが、前述のように塩分や脂質、糖分を取りすぎないようにする、魚や野菜・果物などを意識して食べるようにしてバランスの良い食生活を心がけることで、動脈硬化の進行や生活習慣病の発症を予防することができます。
コーヒーを含めたカフェイン摂取は心臓に負担をかけることはありますか?
小鷹 悠二 医師
コーヒーなどによるカフェイン摂取によって血圧が一時的に上昇しますが、高血圧を発症しやすくなることは証明されておりません。
中にはコーヒーを飲む人で血圧が下がりやすくなるといった報告もありますが、現時点ではその影響はわかっていません。
たばこのように明らかなリスクになることはないと思われますが、極端に多量に摂取すると動悸や不眠、頻尿などほかの症状を引き起こして生活に影響が出る可能性があるため、過量摂取は避けることが望ましいでしょう。
編集部まとめ
心不全は患者数が非常に増えている病気ですが、適切な食生活や生活習慣を意識することで、その発症を予防できる可能性があります。
若いから大丈夫、症状がないから大丈夫と思わずに、今の自分の生活習慣を見直して、少しずつでも改善できるところは改善する、といった姿勢が大切です。
「心不全の予防」と関連する病気
「心不全の予防」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
さまざまな原因で心不全が引き起こされる可能性があります。
「心不全の予防」と関連する症状
「心不全の予防」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
これらの症状が継続的に見られる場合には、医療機関への受診をお勧めします。