「血糖値が急上昇した時の症状」はご存知ですか?医師が徹底解説!

血糖値が急上昇した時の症状とは?メディカルドック監修医が血糖値が急上昇する原因などを解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「血糖値が急上昇した時の症状」はご存知ですか?対処法も医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
木村 香菜(医師)
目次 -INDEX-
血糖値とは?
血糖値とは、血液中のブドウ糖(グルコース)濃度を指します。私たちが食事から摂取した炭水化物は、小腸で「ブドウ糖」という物質になり、血液中に吸収されます。ブドウ糖は、全身の細胞にエネルギーを供給する役割を担っています。 空腹時血糖値の正常範囲は70〜99mg/dLとされています。ただし、100〜110mg/dLの範囲は「正常高値」とされることがあり、将来的な糖尿病リスクを評価するための指標となる場合があります。 この調整には、「インスリン」が重要な役割を果たしています。インスリンは、すい臓から分泌され、血糖値を下げる働きがあります。 しかし、インスリンの出る量が不足したり、その働きが悪くなったりすると、血糖値が高い状態が続く「高血糖」となり、糖尿病などを発症する可能性が高くなります。 血糖値は、健康状態を知るにあたって重要な項目の1つです。そのため、普段から血糖値を管理して、健康な生活を維持しましょう。血糖値が急上昇する原因
血糖値が急激に上昇する症状は、以下のような原因で生じる可能性があります。食事の影響
高糖質の食品や飲料を多く摂取すると、血糖値が急上昇しやすくなります。特に、市販されている甘いお菓子やジュースに大量に含まれている「精製糖」や、白米・食パンなどの高GI(グリセミックインデックス)食品は、血糖値を急激に上げる傾向があります。 高GI食品とは、食後に血糖値を急激に上げる食品のことです。 また、食事を抜いた後に一度に大量に食べる「ドカ食い」も、血糖値を急上昇させる原因の1つです。空腹状態が続いた後の食事は、血糖値の急上昇を招きやすいため、注意が必要です。運動不足
普段からの適度な運動は、血糖値を下げる効果が期待できます。特に、ウォーキングなどの有酸素運動や、筋力トレーニングが効果的といわれています。 しかし、運動不足の状態が続くと、インスリンの働きが低下し、血糖値が上がりやすくなるため注意が必要です。ホルモンの影響
ストレスが高い状態が続くと、ストレスホルモンである「コルチゾール」や「アドレナリン」の分泌が増加します。これらのホルモンは、肝臓からのブドウ糖の放出を促進するため、血糖値が高くなります。血糖値が急上昇した時の症状
血糖値が急上昇すると、以下のような症状が現れることがあります。強い喉の渇きと多尿
血糖値が高い状態が続くと、体は余分なブドウ糖を尿として排出しようとします。その結果、多尿となり、体内の水分が不足し、強い喉の渇きを感じることがあります。体重減少と疲れやすさ
血糖値が高くなると、体内でエネルギー源として、ブドウ糖が適切に利用されず、脂肪や筋肉が代わりにエネルギーとして使われます。そのため、体重が減少するだけでなく、いつもより疲れやすくなります。眠気やだるさ
血糖値が急上昇した後、急激に低下する「反応性低血糖」が起こると、眠気やだるさを感じることがあります。これは、血糖値の急激な変動によって発症します。腹痛・吐き気
糖尿病ケトアシドーシスでは、「腹痛」や「吐き気」の症状が現れることがあります。これは、インスリンの不足によるものです。脂肪が分解されてできる「ケトン体」という物質が増えすぎると、通常は弱アルカリ性に保たれている身体が酸性に傾く状態(アシドーシス)になります。その結果、このような症状が引き起こされます。意識障害
血糖値が著明に高くなり、飲む水の量が足りないと脱水が高度になります。すると、「高浸透圧高血糖症候群(HHS)」が起こってしまう場合もあります。この病気では、意識がもうろうとし、場合によっては昏睡状態に陥ったりするなどの意識障害が起こることがあります。 糖尿病性ケトアシドーシスは、主に1型糖尿病患者に多く見られ、インスリンの不足によりケトン体が過剰に産生されることで発症します。こちらでも、重症な場合では昏睡状態になってしまうことがあります。一方、高浸透圧高血糖症候群は、主に2型糖尿病患者に多く見られ、極度の高血糖と脱水症状が特徴です。 以下の症状が現れた場合は、緊急性が高いため、すぐに医療機関を受診して下さい。 ・意識がもうろうとしている ・激しい腹痛や嘔吐がある ・呼吸が苦しい ・極度の脱水症状(口の渇き、皮膚の乾燥、尿量の減少または無尿) 早期の適切な対応が、命を守るために重要です。「血糖値が急上昇した時の症状」についてよくある質問
ここまで血糖値が急上昇した時の症状について紹介しました。ここでは「血糖値が急上昇した時の症状」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
血糖値が400以上になるとどんな症状が現れますか?
木村 香菜 医師
血糖値が400mg/dL以上になっている場合、1型糖尿病では「糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)」、2型糖尿病特に高齢者の場合では「高浸透圧高血糖症候群(HHS)」に陥っている可能性があります。 糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)では、激しい腹痛や吐き気、呼吸が苦しくなるといった症状が現れることがあります。これは、インスリン不足によって脂肪が過剰に分解され、「ケトン体」が血液中に増加することで、体が酸性に傾くためです。また、重症化すると意識がもうろうとし、場合によっては意識を失うこともあります。 一方、高浸透圧高血糖症候群(HHS)は、極度の高血糖と脱水を特徴とする状態で、血糖値は600mg/dL以上になることもあります。強い喉の渇きや大量の水分摂取、多尿、体重の急激な減少などの症状がみられ、重症化すると意識障害も引き起こすことがあります。HHSは数日から数週間かけて徐々に進行し、特に高齢者では重篤化しやすいため注意が必要です。 意識障害や呼吸困難がある場合は、命に関わる可能性があるため、ただちに救急車を呼ぶか、医療機関を受診してください。
編集部まとめ
今回の記事では、血糖値が急上昇する症状やその原因について詳しく解説しました。記事の中でご紹介した症状がある場合は、すぐに内科や糖尿病内科を受診しましょう。「血糖値が急上昇した時の症状」の異常で考えられる病気
「血糖値が急上昇した時の症状」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。内科・糖尿病内科の病気
- 糖尿病
- 糖尿病性ケトアシドーシス
- 高浸透圧高血糖症候群(HHS)
内分泌内科の病気
神経内科の病気
- 糖尿病性神経障害
消化器内科の病気
- 糖尿病性神経障害