女性が「尿潜血と診断される原因」は何かご存じですか?医師が徹底解説!

女性の尿潜血の原因とは?メディカルドック監修医が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「女性が尿潜血陽性と診断される原因」はご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
尿潜血とは?
尿潜血とは、試験紙を用い、尿にヘモグロビンが検出されるかを調べる検査です。この検査で陽性(1+以上)の場合に尿潜血陽性と診断します。尿潜血陽性と診断された場合、本当に尿に血が混ざっているのかを詳しく検査します。沈査と言って、顕微鏡で実際に尿を見て、赤血球を認めるかどうかで血尿を判断します。尿沈査試験法にて、400倍に拡大した視野で尿中赤血球が5個以上認めた場合に「顕微鏡的血尿」といい、見た目も尿が赤く、尿1Lあたりに血液1mL以上含むものが「肉眼的血尿」です。
女性が健康診断などで尿潜血陽性と診断される原因
女性が健康診断などの尿検査で尿潜血陽性と診断された場合、どのような原因が考えられるでしょうか?男女ともに、腎炎や膀胱がんなどの悪性疾患、結石などが原因となり尿潜血が陽性となります。また、このほかに女性の場合、月経血が混ざったり、婦人科系疾患からの不正出血が出たりすることで尿潜血が陽性となる事もあります。
また、女性では膀胱炎により血尿がみられることも少なくありません。このように尿潜血陽性である場合、多くの病気が考えられ、何科を受診するか迷うこともあるかもしれません。
迷う場合には、尿潜血のみであればまずは泌尿器科、蛋白尿もある場合には内科もしくは腎臓内科を受診してみましょう。
月経
女性では、周期的に月経で出血があるためこの前後の日程で尿検査を行った場合、尿潜血が陽性となる可能性が高いです。見た目では、血が混ざっていないように感じても少量でも経血が混入すると潜血陽性となる事もあるため、月経前後数日は尿検査を避けるべきです。
子宮からの出血
子宮からの出血、例えば子宮がんなどの疾患がある場合に尿に血が混ざり、尿潜血陽性となることも少なくありません。特に少量の出血の場合、尿からの出血なのか、子宮からの出血なのか自分でもわからないことも多いです。尿潜血が陽性となり、腎臓や尿路の異常がみられなかった場合には婦人科系の異常がないか調べることも大切です。
膀胱炎
女性の場合、尿道口から膀胱までの尿道の距離が近いこともあり、膀胱内に細菌が入りやすく膀胱炎をおこしやすいです。頻尿、残尿感、排尿時痛などがある場合、膀胱炎を起こしているかもしれません。まず家庭でできることとしては、水分を多く摂ることです。目安としては1日2L以上の水分をとった方が良いでしょう。それでも症状が治まらない場合には、泌尿器科、内科を受診して相談しましょう。
「女性の尿潜血の原因」についてよくある質問
ここまで女性の尿潜血の原因について紹介しました。ここでは「女性の尿潜血の原因」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
尿潜血が出やすい人の特徴について教えてください。
伊藤 陽子(医師)
女性の場合、膀胱炎を起こしやすい方では尿潜血が陽性となりやすいと言えます。慢性化する場合もあるため注意が必要です。膀胱炎を繰り返す場合には泌尿器科で相談をしてみましょう。
女性が尿潜血+と診断されることは多いのでしょうか?
伊藤 陽子(医師)
人間ドックの結果から集計した報告でも、女性の方が尿潜血の陽性率が高いとの結果でした。この結果は、60歳以降の尿潜血の陽性率がより高いことから、月経の影響のみではないと考えられます。
編集部まとめ 尿潜血陽性となったらまずは再検査を!
女性で尿潜血が陽性となった場合、月経の影響、子宮からの出血、膀胱炎の可能性があります。また、そのほかにも糸球体腎炎や尿路結石、尿路系の悪性腫瘍などの病気もあり得ます。いずれも尿潜血が陽性というだけでは区別がつかないため、まず再検査を行い、必要であればより詳しく検査を行って原因を調べることが大切です。尿検査で尿潜血陽性を指摘されたら、泌尿器科、腎臓内科を受診しましょう。
「女性の尿潜血」の異常で考えられる病気
「女性の尿潜血」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
婦人科の病気
- 子宮がん
- 月経
女性の尿潜血陽性の場合、上記の様な病気が考えられます。再検査をしても陽性が続く場合には、沈査や超音波検査などさらに詳しい検査を進めることになります。尿潜血陽性を指摘されたら、まずは内科・泌尿器科を受診して再検査を行いましょう。