「HDLコレステロール」の異常で招く“5つの病”とは?見逃せないサインを医師が解説!

HDLコレステロールの基準値はどれくらい?メディカルドック監修医がHDLコレステロールの異常値(高い・低い)が引き起こす動脈硬化、脂質異常症、心筋梗塞、脳梗塞などのリスクについて詳しく解説します。気になる症状がある場合は、迷わず病院を受診してください。
※この記事はメディカルドックにて『「HDLコレステロールの基準値」はご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
岡本 彩那(淀川キリスト教病院)
目次 -INDEX-
脂質異常症とは?
今まで健診などで脂質異常、コレステロールが高い、などを聞いたことはないでしょうか。コレステロールは動脈硬化やいろいろな病気の原因となると聞き、悪いイメージを持っている人もいるでしょう。しかしながらコレステロールは身体の中で必要な物質であり、HDLやLDLなどのバランスが崩れることが問題なのです。
ここではこのHDLコレステロールについて解説していきます。
HDLコレステロールの異常値(高い・低い)で発症しやすい病気
動脈硬化
HDLは血中にある余分なコレステロールを回収し、肝臓を介して身体の外に出す働きがあります。そのため、HDLが低いと(もしくはLDLが高く血中のコレステロールが増えすぎると)、コレステロールを十分に回収しきれずに血管の中にコレステロールが溜まります。溜まったコレステロールが原因で血管壁にプラークを形成、血管が硬くなってしまい動脈硬化を引き起こす原因となります。動脈硬化自体は自覚症状がないものですが、脳梗塞や心筋梗塞など命に関わる病気の原因にもなります。
動脈硬化は予防が重要です。肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常が一因となるため、バランスの良い食事と運動を心がけ、生活習慣を見直しましょう。また、脂質異常を指摘された場合は動脈硬化が進んでいる可能性もあるため、内科で検査を受けるようにしましょう。その他、喫煙も動脈硬化の原因となります。禁煙を心がけましょう。
脂質異常症
脂質異常症は
- 中性脂肪が多い
- LDLコレステロールが多い
- HDLコレステロールが少ない
状態です。特にLDLコレステロールは動脈硬化を直接引き起こします。HDLコレステロールが低いと血液中の余分なコレステロールを十分に回収できなかったり、中性脂肪が多いとLDLコレステロールが上昇したりするため、やはりそれぞれ対処が必要です。
脂質異常症では自覚症状があまりありませんが、動脈硬化の原因となり、さらには動脈硬化により心筋梗塞などの虚血性心疾患や脳梗塞などの脳血管障害などの病気を引き起こします。そのため、脂質異常症と診断された場合は食事・運動などの生活習慣の改善や必要があれば投薬による治療が必要となってきます。
脂質異常症では自覚症状がなく、多くは健診などで血液検査を行った時などにわかります。異常を指摘された場合は内科、代謝内科を受診しましょう。
心筋梗塞
心筋梗塞は心臓を栄養する冠動脈という血管が詰まることにより、その先の心臓の細胞に十分な酸素や栄養を送り届けることができなくなり、心臓の細胞が壊死してしまう病気です。
心筋梗塞になった場合、発症から治療までの時間がその後の経過(予後)に影響します。突然胸が押されるような、締め付けられるような痛みが出るなどの症状があれば、すぐに救急車を呼んででも病院を受診するようにしましょう。
心筋梗塞になる前に冠動脈が狭くなり、一時的に胸痛などの症状を起こすこともあります(狭心症)。狭心症では症状は30分以内で元に戻ります。特に胸の前から押されるような、もしくは胸が締め付けられるような痛みがあった場合、胸やみぞおちの違和感や左肩、左腕などの痛みが続く場合などは内科・循環器内科で一度検査を受けるようにしましょう。
脳梗塞
脳梗塞は脳の血管が詰まることにより脳の働きが障害される病気です。その原因としては、心臓に血の固まり(血栓)ができて脳に飛んで行ってしまうもの、動脈硬化によるものなどが考えられます。
脳梗塞の症状は脳血管のどの部分が詰まり、脳のどの部分、どの範囲が障害されるかで異なります。かなり小さなものであればなかなか症状が出ないこともありますが、逆に大きな欠陥を詰めると意識がなくなったりもします。その他、顔面や身体の半分が動かせない、感覚がない、しびれるなどの症状が出たり、言葉が出てこない、話すことができない、目が見えないなどの症状が出ることもあります。
脳梗塞になった場合、条件はあるものの発症からどの程度時間が経過しているかでできる治療が異なってきます。発症から早い段階であれば薬で詰まっている部分を溶かしたり、血管内治療を行えることもあります。一方で発症時間がわからない、発症からかなり時間が経過しているなどであれば、再発予防などの治療となり、今出ている症状に対してはリハビリのみ、となることもあります。
先に挙げた脳梗塞を疑う症状が突然出現した場合などはすぐに病院受診(救急、脳神経外科、脳神経内科)するようにしましょう。
HDLコレステロールの基準値についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「HDLコレステロールの基準値」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
HDLコレステロールの数値は40以上が正常・理想ですか?
岡本 彩那 医師
HDLコレステロールは40mg/dL以上が基準値とされています。HDLが40mg/dL未満となれば、低HDLコレステロール血症、脂質異常症となります。ただし、それによりすぐ治療適応となるかは人により異なります。
HDLコレステロールの基準値は女性でいくつですか?
岡本 彩那 医師
日本ではHDLの基準値は40mg/dL以上とされており男女で差はありません。しかしながら閉経前の女性はホルモンの関係でLDLが低く、HDLが高くなりやすいとされています。また、ホルモンの関係ですので、閉経後は男女差がなくなってきます。
血液中のHDLコレステロールが高くなる主な原因は何ですか?
岡本 彩那 医師
HDLコレステロールは一部の遺伝性疾患で上昇することがあります。また、アルコールや原発性胆汁性肝硬変などの疾患でもHDLコレステロールが上昇することがあります。
検査でHDLコレステロール値が引っかかったらLDLコレステロール値も気にするべきですか?
岡本 彩那 医師
コレステロールで重要なのはLDLとHDLのバランスです。近年、動脈硬化など血管の状態を評価する指標の一つとしてLH比が注目されています。LH比は「LDL÷HDL」で計算され、高いとより動脈硬化のリスクが上がるとされます。HDLが低いということはLH比も上昇しやすいということです。LDLコレステロールも気にしたほうが良いでしょう。
まとめ HDLコレステロールの基準値40mg/dLを超えたら内科・代謝内科を受診!
ここで解説したようにHDLは血液中の余分なコレステロールを回収し、肝臓に運搬します。HDLコレステロールが低いと余分なコレステロールを十分に回収できず、動脈硬化の原因となり得てしまい、さらには心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気の原因となり得ます。HDLコレステロールが低いと言われたら早めに病院を受診し検査を受ける、生活習慣を見直すなどの対応が重要です。
「HDLコレステロール」の異常で考えられる病気
「HDLコレステロール」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
脳神経系の病気
- 脳梗塞
- 一過性脳虚血発作
コレステロールの異常は血管の病気と大きな関係があります。コレステロールにはHDLコレステロールをはじめ、見るべきスコアがたくさんありますが、異常であれば放置せずに生活習慣の見直しをおこない、改善しない場合には内科への受診をお勧めします。
参考文献
- 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版 日本動脈硬化学会
- 2023 年改訂版冠動脈疾患の一次予防に関する診療ガイドライン