「腎臓の働きを知る指標・クレアチニンの基準値」はご存知ですか?男女別・年齢別に解説!

クレアチニンの基準値はどれくらい?Medical DOC監修医が解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「クレアチニンの基準値」はご存知ですか?男女別・年齢別に医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
中村 雅将(医師)
目次 -INDEX-
クレアチニンとは?
クレアチニンは腎臓の働きを知る指標として、一般的に広く使用されています。
筋肉が収縮する時、筋肉の細胞の中では、アミノ酸の一種であるクレアチンという物質からエネルギーが放出されます。この時に代謝産物として生じるのがクレアチニンです。血液中のクレアチニンは腎臓の糸球体という部位で濾過され尿中に排出されます。腎臓の働きが障害されると尿中へ排出される量が減るので、血液中に残る量が増えるため、結果的に血液中のクレアチニンが増加します。
血液中のクレアチニン値は全身の筋肉の量や、腎臓の働きなどの影響を受けて変動します。例えば、一般的に男性のほうが女性よりも筋肉量が多いためクレアチニンの値も男性のほうが高めとなります。男性の中でも筋肉量は個人差がありますし、高齢者よりも若年者のほうが筋肉量は多い傾向にあります。腎機能を指標として使用されるクレアチニンですが、種々の要因によって影響を受けることが難点とされていました。最近では血液中のクレアチニン濃度、年齢、性別からeGFR(推定糸球体濾過量)を算出し、腎機能の指標として表記されるようになっています。
eGFRが低下した状態や尿検査・血液検査・画像診断などの検査所見から腎障害があきらかである状態のいずれか、もしくは両方が3か月以上続いた状態は、慢性腎臓病(CKD)といわれます。CKDを早い段階で適切に治療を開始できるように、検診や医療機関で行われる血液検査では、クレアチニンとクレアチニンをもとに算出されるeGFRが広く用いられています。
クレアチニンの基準値
クレアチニンの基準値は一般的に以下のように示されていますが、年齢や性別、筋肉量などにより個人差があります。年齢や性別の影響を近年、腎臓の働きを示す指標としてeGFRが用いられています。
男女別・クレアチニンの基準値
男性: 0.6~1.2㎎/dl
女性: 0.5~1.0㎎/dl
eGFRの計算方法
日本腎臓学会はeGFRを計算する際に、「日本人のためのeGFR計算式」[MN1] を推奨しています。この式はおもに欧米人を対象にしていたCKD-EPI式を日本人のデータをもとに修正したもので、より正確に日本人の腎機能を評価できるとされています。
日本人向けのeGFR計算式は以下の通りです:
男性:
eGFR = 194 × 血清クレアチニン値^(-1.094) × 年齢^(-0.287)
女性:
eGFR = 194 × 血清クレアチニン値^(-1.094) × 年齢^(-0.287) × 0.739
この計算式では、血清クレアチニン値(mg/dL)、年齢、および性別を使ってeGFRを推定します。性別によって女性には係数「0.739」が掛けられる点が特徴です。これは、日本人女性の腎機能が男性に比べて一般的に低めであることを反映しています。
算出されたeGFRにより、腎機能は5段階に分類されます。
ステージ1 eGFR ≧90 (ml/分/1.73㎡) GFR(eGFR)は正常または亢進
ステージ2 eGFR 60~89 (ml/分/1.73㎡) GFR(eGFR)は軽度低下
ステージ3 eGFR 30~59 (ml/分/1.73㎡) GFR(eGFR)は中等度低下
ステージ4 eGFR 15~29 (ml/分/1.73㎡) GFR(eGFR)は高度低下
ステージ5 eGFR <15 (ml/分/1.73㎡) 腎不全
年齢別・クレアチニンの基準値
多くの臓器では、機能は年齢によって変化します。腎臓も加齢の影響をうけるとされ,
40歳以上の日本人検診受診者、約12万人のデータではeGFRの平均低下速度は-0.36ml/分/1.73㎡/年とされています。健康な人でも1年につき0.3~0.4%程度、腎機能が低下していくことになります。
eGFRの基準値は若年者でも高齢者でも60ml/分/1.73㎡以上で、年齢による区分は設定されていません。ただしeGFRが60ml/分/1.73㎡以上となるクレアチニンの値は年齢や性別によって異なってきます。以下にeGFRの区分と、eGFR60ml/分/1.73㎡以上となるクレアチニンの値を年代別に示します。(eGFR男女・年齢別早見表:CKDガイド2012を参照)
10代~20代のクレアチニンの基準値
20歳
男性 1.30㎎/dl以下
女性 1.00㎎/dl以下
25歳
男性 1.20㎎/dl以下
女性 0.90㎎/dl以下
30代のクレアチニンの基準値
30歳
男性 1.10㎎/dl以下
女性 0.90㎎/dl以下
35歳
男性 1.10㎎/dl以下
女性 0.80㎎/dl以下
40代のクレアチニンの基準値
40歳
男性 1.10㎎/dl以下
女性 0.80㎎/dl以下
45歳
男性 1.00㎎/dl以下
女性 0.80㎎/dl以下
50代のクレアチニンの基準値
50歳
男性 1.00㎎/dl以下
女性 0.70㎎/dl以下
55歳
男性 1.00㎎/dl以下
女性 0.70㎎/dl以下
60代のクレアチニンの基準値
60歳
男性 0.90㎎/dl以下
女性 0.70㎎/dl以下
65歳
男性 0.90㎎/dl以下
女性 0.70㎎/dl以下
70代以上のクレアチニンの基準値
70歳
男性 0.90㎎/dl以下
女性 0.70㎎/dl以下
75歳
男性 0.90㎎/dl以下
女性 0.70㎎/dl以下
「クレアチニンの基準値」についてよくある質問
ここまでクレアチニンの基準値について紹介しました。ここでは「クレアチニンの基準値」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
クレアチニンの基準値で危険な数値について教えてください。
中村 雅将 医師
クレアチニンの値から算出されるeGFRにより、医療機関受診の必要性が判断されます。eGFR45ml/分未満では医療機関受診が推奨されます。40歳未満ではeGFR60ml/分未満が医療機関受診推奨の基準となります。
年齢によって、数値は変わってきますが、男性で1.2㎎/dl以上、女性では1.0mg/dl以上であれば医療機関を受診する必要があるでしょう。年齢が上がるほど数値はさがります。
クレアチニンの値がいくつ以上で透析を行いますか?
中村 雅将 医師
クレアチニンの値だけで透析を開始するかどうか判断することは難しく、クレアチニン値以外に腎機能(GFR:糸球体濾過量)や電解質バランスや体液貯留、患者さんの症状などを総合的に考慮して透析を開始する判断が下されます。eGFRが15ml/分を下回った段階で透析の準備を始めることが推奨されています。
編集部まとめ クレアチニンの基準値は男性1.2㎎/dl以下、女性1.0㎎/dl以下!
腎臓の病気はあまり自覚症状がないままに進行することが多く、症状が出た時にはかなり病状が進行していることがよくあります。早期発見・早期治療が重要です。クレアチニンは腎機能の指標として広く用いられています。健診などでクレアチニンが基準よりも高値だった場合には、腎機能がさらに悪化することを防ぐために速やかに医療機関を受診しましょう。
「クレアチニン」の異常で考えられる病気
「クレアチニン」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
腎臓内科の病気
- 急性腎不全
- 慢性腎臓病
- 閉塞性腎症
- 糖尿病性腎症
腎臓の病気では腎機能がかなり低下するまで症状が表にでてこないことも多く、健診などによる早期発見が望まれます。クレアチニン値異常が腎臓病の早期であることを知らせるサインになることもあります。迷ったら早めに医療機関を受診することがなによりも大切です。