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【闘病】「ただの疲れ」ではなかった… 10年続いた“めまい”の正体は『神経の難病』

 公開日:2026/02/11

目の視力低下から難病「多発性硬化症」が判明したえみさん(仮称)。10年来のめまいの正体が分かり、告知時はむしろ安堵したと言います。歩行の不安定さや手先の麻痺、マルチタスクの困難といった後遺症に対し、杖や電子マネー、時短勤務を柔軟に活用。重い肝障害も「病は気から」と乗り越え、工夫を楽しみながら自分らしく日常を再構築する、しなやかで前向きな闘病の軌跡を紹介します。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年12月取材。

えみさん

体験者プロフィール
えみさん(仮称)

プロフィールをもっと見る

1983年生まれ。夫と子どもの3人暮らし。職業はソーシャルワーカー。2009年原因不明のめまいを発症し、その後2019年に脳に病変が見つかり、多発性硬化症と診断される。入院し治療を開始するが薬の副作用で肝機能障害も併発し、一時は肝移植を検討するほどであった。現在は多発性硬化症の症状と向き合いながらも、仕事・家事・リハビリ・折り紙ボランティア活動などに取り組んでいる。

出口 誠

記事監修医師
出口 誠(医師)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

病名がわかってホッとした

病名がわかってホッとした

編集部編集部

さっそくですが、多発性硬化症とはどのような病気なのでしょうか?

えみさんえみさん

多発性硬化症は脳や脊髄、視神経のあちこちに病変ができ、さまざまな症状が現れる難病です。本来は自分の身体を守る働きをする免疫細胞が暴走し、神経を攻撃することが原因なのだそうです。なぜ免疫細胞が神経を傷つけてしまうのか、はっきりとした理由はわかっていません。症状はさまざまですが、視界がぼやける、しびれ感、手足の運動障害、思考や感情にまで影響を及ぼします。

編集部編集部

病院を受診したきっかけを教えてください。

えみさんえみさん

今から10年以上前にめまいの症状が出て、耳鼻科を受診したのですが、結局原因は分からず、心療内科でもらった薬を飲んでしのいでいました。それが最近になって、左目が中心から見えなくなってきたので、地元の眼科を受診しました。「コンタクトレンズで傷ついちゃったのかな?」と軽く考えていたのですが、眼科のお医者さんから大学病院の受診を勧められました。

編集部編集部

大学病院ではどのような検査をしましたか?

えみさんえみさん

最初は神経眼科を受診し、視神経炎と言われました。原因を調べるためMRIを撮ったところ、脳に病変があることがわかり、神経内科へ転科しました。その後、視野検査、髄液検査、誘発電位検査などの精密検査を受けて、やっと多発性硬化症と診断されました。

編集部編集部

多発性硬化症と診断された時の気持ちは?

えみさんえみさん

ショックというよりは、病名がきちんと分かってホッとしました。「これで治療がスタートできる!」という想いが強かったです。医学書を読めば読むほど、自分の症状と当てはまっていてびっくりしました。左目が見えなくなったことはもちろん切なかったけど、「もっと敵(病気)を知らないと」という前向きな気持ちでした。逆に、夫と当時小学校2年生だった子どもの方がショックを受けていましたね。

編集部編集部

医師からは、多発性硬化症についてどのような説明を受けたのですか?

えみさんえみさん

多発性硬化症は難病なので、完治することはなく、良くなったり悪くなったりを繰り返す病気。だけど、海外では研究が進んでいて再発予防薬も開発されているから、そんなに悲観的にならなくても良いと言われました。

「病は気から」と前向きに向き合う

「病は気から」と前向きに向き合う

編集部編集部

治療中に辛かったことはありますか?

えみさんえみさん

コパキソンというお薬を自分で毎日注射しないといけなくて、その注射の後ズキズキと痛むのが辛かったです。毎日の注射なので、注射器も結構なスピードで溜まってしまって、それがいっぱいになったら病院に行くのですが、その帰りにちょっと高級なスイーツを買って、頑張って治療している自分のご褒美にしていました。

編集部編集部

自分でモチベーションをあげるのは大切ですね。

えみさんえみさん

はい、本当に。実は治療中に肝障害が起きて、一時はあと少し肝臓のデータが悪くなれば、意識がなくなってしまう状態にまで悪化したのです。肝臓や脾臓が腫れて食事が取れなくて辛かったのですが、「退院したらあれもこれも食べたい!」と考えていました。結局、ステロイドの治療が効いたこともあり、危険な状態は免れましたが、「病は気から」と、前向きな姿勢がよかったのかもしれません。

編集部編集部

現在の体調や生活はいかがですか?

えみさんえみさん

多発性硬化症は、さまざまな症状があります。私の場合は、歩くのが不安定になりました。転んだり、平らな地面でもつまずいたりすることが増えたので、外出する時は杖を使っています。左目の霞んだ感じもまだありますね。あと、すぐに疲れてしまうので、仕事から帰ってきたら一旦休憩してから家事をしています。最近は夫や子どもが家事を手伝ってくれるので、すごく助かっています。実は最近、脳に新たな病変が見つかり、入院してステロイド治療を受けていました。その後新薬であるケシンプタという薬を使ってみる予定です。

編集部編集部

お仕事を続けられているのですね。

えみさんえみさん

はい。無理しないように時短にしています。同時に2つ以上のことをするマルチタスクが苦手になりました。これも脳に病変ができる多発性硬化症の症状のひとつなのです。日々脳トレをしてリハビリをしています。

編集部編集部

脳に病変ができたことの影響はありますか?

えみさんえみさん

その影響で手先がうまく動かなくなりました。お皿をたくさん割ってしまったり、お箸が持ちにくくなったりしています。ですから、お皿はプラスチックの物に変え、スプーンやフォークを使って食事するようになりました。小銭の出し入れも時間がかかるので、電子マネー決済などを積極的に取り入れて、少しでも快適に毎日を送れるように工夫しています。難しいこともあるけれど、「これなら出来る」という方法を探して、試行錯誤しています。またリハビリのために簡単な手芸や「消しゴムはんこ」作り、折り紙ボランティアの活動もしています。

≪↓ 後編へ続く ↓≫

※この記事はメディカルドックにて『【闘病】「コンタクトの傷?」 見え辛さは難病が原因だった《多発性硬化症》』と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

なお、メディカルドックでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。

 
(後編)【闘病】もっと知ってほしいヘルプマークのこと

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