目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 【闘病】ただの風邪だと思ったら「SLE」だった… 「完治しない」の一言に絶望

【闘病】ただの風邪だと思ったら「SLE」だった… 「完治しない」の一言に絶望

 公開日:2025/01/24
【闘病】不調の原因は疲れではなく「SLE」だった 医師に告げられた治らない病

原因不明の免疫系疾患で20~40代の女性に多い膠原病「全身性エリテマトーデス(SLE)」。全身に炎症を起こし、慢性的な疲労や関節痛、やけどのような発疹も現れます。伊藤有希さん(仮称)は、ただの風邪だと思って最初は様子を見ていたそうですが、一向に治らないで受診したらSLEが発覚しました。診断されたときは絶望感に襲われたそうです。そんなSLEと向き合っている伊藤さんに、闘病記を語っていただきました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2023年7月取材。

伊藤有希さん

体験者プロフィール
伊藤 有希(仮称)

プロフィールをもっと見る

2014年に発症後、数年間微熱のある状態が続いていた。当初は「育児疲れ」と思い、解熱剤を飲んで様子を見ていた。しかし、発熱がなかなか落ち着かず、病院で精密検査をしてもらったところ「全身性エリテマトーデス(SLE)」との診断を受けた。

副島 裕太郎

記事監修医師
副島 裕太郎(横浜市立大学医学部血液・免疫・感染症内科)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

思い描いていた未来が壊された絶望感が強かった

思い描いていた未来が壊された絶望感が強かった

編集部編集部

伊藤さんの発症したSLEについて、病気の詳細を教えていただけますか?

伊藤有希さん伊藤さん

SLEを発症するのは、ほとんどが20~40代の妊娠できる年齢の女性です。原因は不明だそうですが、免疫系の異常で自分自身を攻撃しているそうです。また、特定の薬を服用したことが原因で発症する人もいます。症状は悪くなったり、良くなったりすることを繰り返すのが特徴です。三大初期症状は発熱、関節炎、皮疹で、私の場合は発熱が初期症状でした。

編集部編集部

伊藤さんの場合、どのような経緯でSLE発症が判明したのですか?

伊藤有希さん伊藤さん

私が発症した時期はちょうど育児で忙しい時期と重なっていて、微熱のある状態が長く続いていました。最初は育児疲れだと思って解熱剤を飲んで様子を見ていました。それから少し時間が経ち、子どもが小学校1年生の夏休みに強い日差しに当たる日があり、それから39℃の高熱が出続ける状態になりました。この時もSLEなど全く予想しておらず、「風邪かな」と思って市販の解熱剤を飲んでいました。

編集部編集部

その後、どのようにして判明するのですか?

伊藤有希さん伊藤さん

その後、一向に熱が下がらないので近所の内科を受診し、さらに2回の転院後に大学病院の検査でSLEだったことが判明したという経緯です。

編集部編集部

病気が判明したときの心境はどのようなものでしたか?

伊藤有希さん伊藤さん

医師から「完治することはない」と言われ、「自分がそんな難病に罹患するなんて」と絶望しました。人生で思い描いていた未来図が崩れてしまった想いでした。

編集部編集部

医師からはどのような治療方針の説明がありましたか?

伊藤有希さん伊藤さん

SLEは全身の臓器に炎症と寛解を繰り返す病気であること、寛解を維持するのが治療の目標ということでした。治療は抗炎症薬の内服が原則で、副腎皮質ステロイド薬と免疫抑制薬で炎症を抑えるのが一般的とのことでした。ただ、副腎皮質ステロイド薬は長期間にわたって必要以上の服用を続けると副作用が出やすく、私の状態に合わせて必要最小限の量に調整する必要があるとも話してくれました。SLEの合併症や重症度を正確に評価しながら、副腎皮質ステロイド薬の効果を補助するために免疫抑制剤を使用するという話でした。

編集部編集部

判明した直後はどのような治療をされたのですか?

伊藤有希さん伊藤さん

50日間入院して精密検査と投薬を行いました。その後は内服と点滴を行いながら、副作用にも注意しつつ生活していました。しかし、今年(2023年)SLEによる心膜炎を発症し、40日間の入院を余儀なくされました。今はステロイド薬と免疫抑制剤の内服、SLEに特化した点滴を月1回投与しています。通院も2週間に1度あります。

編集部編集部

普段の体調はいかがですか?

伊藤有希さん伊藤さん

日替わりで良くない箇所が必ずありますが、うまく症状と共存して過ごすことができています。

症状とうまく付き合うために生活も大きく変化していった

症状とうまく付き合うために生活も大きく変化していった

編集部編集部

発症後の生活はどのような変化がありましたか?

伊藤有希さん伊藤さん

普段から紫外線を避けて生活しています。内服薬の副作用で免疫力も落ちているため、外出の際はマスクが手放せず、新型コロナに関係なく感染症のおそれがある混雑した場所には行かなくなりました。そして、日頃からうがいと手洗いを頻繁に行って、感染対策に注意を払っています。

編集部編集部

外出時の日焼け対策はどのようなことを行っているのですか?

伊藤有希さん伊藤さん

季節を問わずSPF50以上の日焼け止めを使い、帽子や長袖の服を着用して肌を保護しています。特に紫外線の強い午前10時から午後4時に外出するときは、なるべく日陰のある部分を移動するように注意しています。窓ガラスは紫外線を通すので、直射日光を避けるためにカーテンを閉めることも大事です。

編集部編集部

SLEの治療後、困った症状や副作用はありますか?

伊藤有希さん伊藤さん

副作用で頭髪が抜けたり、あざができやすくなったり、容姿の変化があります。薬と症状の影響で毛細血管が破れやすく、ハイヒールを履くとつま先から出血するようになりましたので、今は履かなくなりました。

編集部編集部

そのほかに日々の生活で気を付けていること、取り組んでいることなどはありますか?

伊藤有希さん伊藤さん

一番の願いは日常生活を普通に過ごすことです。そのため、紫外線に当たらないこともそうですが、ストレスを溜めないことを大事にしています。SLEは身体的、精神的なストレスで症状が重くなるので、日頃から色々なことを試しています。

※この記事はMedical DOCにて<【闘病】疲れと思い込んでいたモノがSLEだったとは… 「完治しない」の説明に絶望>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。